増えるミャンマーからの留学生…母国に政情不安、就職を目指して来日
ミャンマーからの留学生が急増している。軍事クーデターにより政情不安が続く中、多くが安定した環境の日本で学び、就職を目指して来日しており、ここ3年で倍増した。生活に困窮する学生も目立ってきており、民間団体が支援に乗り出している。「混乱する母国は働き口がなく、見通しが立たないので日本に来た」。日本語学校「富藤外国語学院」(神戸市)で学び、今月1日に卒業した男子学生(21)は話す。同学院のミャンマー人の学生数は2022年3月の15人から今年1月には87人に増加。男子学生は、クーデターで大学が閉鎖されたため、現地の留学仲介業を兼ねる日本語教育機関で学び、22年10月に来日。同機関に学費など約50万円を支払った。週6日、アルバイトをして学費や生活費の一部を工面している。今春、東京の専門学校に進学する予定で「将来は日本の企業で働きたい」と希望を抱く。21年2月のクーデター以降、ミャンマー人の来日は増えている。出入国在留管理庁によると、滞在者は20年末の3万5049人から23年6月時点は6万9613人に増え、多くが技能実習生として入国。留学生は20年末の4371人から、23年6月時点は、8876人になった。なぜ日本への留学が増えているのか。ミャンマー出身のナンミャケーカイン・京都精華大特任准教授は「多くが、母国に希望を見いだせずに来日している。将来は日本の労働力不足を補う存在になるだろう」と指摘している。ミャンマー国軍は4月から18歳以上の国民に対する徴兵制を始める。京都大の准教授(ミャンマー政治)によると、国内では徴兵制を逃れようと国外脱出の動きが加速しており、来日する人はさらに増えるとみられる。
生活に困窮する留学生も出てきており、NPO法人「ミャンマーKOBE」(神戸市)には21年以降、留学生から相談が相次ぐ。日本語がネックになり、仕事に就けないケースも多く、食料や布団などを無償提供している。現地の日本語教育機関に100万円の借金をして来日した男子留学生は「食べるものにも困る時がある」と漏らす。同法人の猶原信男理事長(72)は「継続的な支援が必要だ。過重な借金を背負わずに学べる環境を整えることが求められている」としている。
(読売新聞オンライン 南部さやか 2024.3.18)
〈ことば〉
政情不安…国の政治が安定せず安心できないこと。
困窮…とても困ること。ひどく貧しくて、困り苦しむこと。
乗り出す…自分から進んであることを始める。
見通しが立たない…将来を予測することができない。
仲介…当事者双方の中に立ってあいだをとりもち、ものごとをまとめるこ
と。
兼ねる…二つ以上の機能や性質を持つ。
工面…工夫して必要な金銭や品物を集めること。
ネック…ものごとの進行をはばむ障害。
1新聞には記事の内容をまとめた見出し文がつくことが多い。この記事の見
出し文はどこまでですか。句読点を入れずに7字で答えなさい。
2ミャンマーからの留学生が急増しているのはなぜですか。理由を2点あげ
なさい。
3ミャンマーからの留学生が生活に困窮する理由には、どんなことがありま
すか。2点あげなさい。
*もう一度読んでみよう。
ミャンマーからの留学生が急増している。軍事クーデターにより政情不安が続く中、多くが安定した環境の日本で学び、就職を目指して来日しており、ここ3年で倍増した。生活に困窮する学生も目立ってきており、民間団体が支援に乗り出している。「混乱する母国は働き口がなく、見通しが立たないので日本に来た」。日本語学校「富藤外国語学院」(神戸市)で学び、今月1日に卒業した男子学生(21)は話す。同学院のミャンマー人の学生数は2022年3月の15人から今年1月には87人に増加。男子学生は、クーデターで大学が閉鎖されたため、現地の留学仲介業を兼ねる日本語教育機関で学び、22年10月に来日。同機関に学費など約50万円を支払った。週6日、アルバイトをして学費や生活費の一部を工面している。今春、東京の専門学校に進学する予定で「将来は日本の企業で働きたい」と希望を抱く。21年2月のクーデター以降、ミャンマー人の来日は増えている。出入国在留管理庁によると、滞在者は20年末の3万5049人から23年6月時点は6万9613人に増え、多くが技能実習生として入国。留学生は20年末の4371人から、23年6月時点は、8876人になった。なぜ日本への留学が増えているのか。ミャンマー出身のナンミャケーカイン・京都精華大特任准教授は「多くが、母国に希望を見いだせずに来日している。将来は日本の労働力不足を補う存在になるだろう」と指摘している。ミャンマー国軍は4月から18歳以上の国民に対する徴兵制を始める。京都大の中西嘉宏准教授(ミャンマー政治)によると、国内では徴兵制を逃れようと国外脱出の動きが加速しており、来日する人はさらに増えるとみられる。
生活に困窮する留学生も出てきており、NPO法人「ミャンマーKOBE」(神戸市)には21年以降、留学生から相談が相次ぐ。日本語がネックになり、仕事に就けないケースも多く、食料や布団などを無償提供している。現地の日本語教育機関に100万円の借金をして来日した男子留学生は「食べるものにも困る時がある」と漏らす。同法人の猶原信男理事長(72)は「継続的な支援が必要だ。過重な借金を背負わずに学べる環境を整えることが求められている」としている。
〈こたえ〉
1「乗り出している」(3行目)
2①国が政情不安で将来に希望が持てないため。
②徴兵制が実施されるため。
3①日本語が不十分で、仕事に就けないこと。
②来日するときに多額の借金を背負っていること。
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