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アフターコロナ・大学の授業

東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
複数の大学で、日本語教育、キャリア支援、日本人のアカデミックライティングなども担当しています。

コロナはなくなっていないけれど、世の中は、すでにアフターコロナです。完全オンラインの2年半を過ごし、完全対面となったこの春学期、私の授業の変化について書いてみたいと思います。

まず、よほどでなければ、印刷をしなくなりました。
学生たちも、ほとんどPC持参で大学に来ています。コロナ前なら、考えられないことです。
そして、私は、今もって、LMS(学習支援システム)を通じて、教材をアップし、課題を出し、フィードバックをアップしています。
反転授業が当たり前になりました。
インプットは、授業前に各自行う。
授業時間には、対面でできることこそすべきである、という具合です。

オンラインの2年半は、効率がよすぎるがゆえに、学生たちも、出題する私も出題のみならず、採点・添削・フィードバックに苦しむという地獄を過ごしました。
ストレスからくる不安と不眠の中で鬱の入口にいたような気がしますが、それでも、あのペースを止めることができなかったのです(申し訳ない)。
が、コロナでオンラインの毎日を過ごすようになるまで知らなかったのですが、文科省は、45時間の学修時間を必要とする内容をもって1単位と定めていたのです!
つまり、授業回数が15回として、1回の授業につき、90分ではなく、予習復習等を含めて、180分の内容を持たせなければならないということです。

まさか、そんなことになっていたとは、ほとんどの教員も、学生も知らなかったわけです。
そんなことを知っていて大学に進学してきている人がどれほどいたでしょうか。
が、文科省のいう通りにするなら、反転授業で、各自、事前学習は当たり前、毎回の授業の後に、授業を受けた後のアウトプットを求めることも当たり前なのです。

全ての授業が対面に戻った今学期、コロナ前に戻るかと予想していましたが、意に反して、自分自身が、コロナ下の授業スタイルを維持することになったのでした。
変わったのは、パソコンの画面でしか見られなかった学生の顔をリアルに見るようになったことだけです。
これは、何ものにも代え難く、ありがたいことです。

あの修羅場をくぐって明らかになったことは、1授業あたり180分に相当する学習がつらいというのであれば、その人は大学での学びには向かない、ということです。

教える側も、身を引き締めなければ。

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