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水位先生の門流(2) -方全先生の幽顕往来- ●

#00380 2015.10.20

「二月九日の夜九時、還精法を修す。翌十日午前三時、始めて目覚めたりしが更に幽境に入る。宗重望(そうしげもち)君に面し帰るに、余(よ)が履(はきもの)見えず。
 それより転じて一幽境に入る。樹木の参差(しんし)たる所に於(おい)て、正(まさ)しく故人、波多彦太郎氏の声を聞きて、その人を尋ねたれども遂に見当たらず。
 それより山腹の地を西南に向ひて行き、一山間に出て平地の所となる。正しく余(よ)、自らの影を見るに歴然たり。又、余が自らの手及び身を見るに、現身(うつしみ)と更に異なる所なし。又、余に随ひ来る二人あり。その身その影を見るに明白なり。この時、南方の山上に日輪のあるを見る。」(『玉之屋日記』)

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