不見識な石炭火力反対運動が発展途上国を破滅させる危険性
温暖化や環境破壊などが注目を浴び、Twitterでは先進国で豊かな日本の一部の学生らが石炭火力の反対運動をしている。
私個人的に安全保障上の観点でも電力が十分に供給されるのであれば、クリーンエネルギー(再生エネルギー)に転換しても良いと考えているが、先進国の日本でも現状では難しい。
ましてや、発展途上国では今現在も石炭火力に依存している国は多く、それらの国が原発ゼロ・石炭火力ゼロとなれば経済は混乱し、生活もままならなくなる事は馬鹿でも想像できる。
その為、日本の一部の学生らが日本国内の電力事情に異議を唱えて運動する事には自由にして貰って結構だが、他国の電力問題に関わる事まで口を出したりする事に違和感を抱く。
例えば、このツイート。
日本企業のバングラデシュ火力発電事業の撤退を求めるツイートなのだが、少しバングラデシュの電力事情について調べてみた。
下記の参考資料を見ると、バングラデシュは2007年4月の時点では多くが自国の天然ガスで電力を賄っている。
それでは最近のバングラデシュの電力事情というと、こういう状況となっている。
上記の2007年の電力事情から、この引用元の記事公開までの間は約13年程あり、その間のバングラデシュは電力不足を解消する為に発電容量を大幅に増加する投資を行ってきた事が分かる。
バングラデシュが何故、このような投資をしているのかというと人口増加と自国のエネルギー資源と経済が不足しているというのがある。
爆発的な人口増加
1960~2020年のバングラデシュの人口増加は世界で8位となっており、その爆発的な人口増加をチャートで見れば手に取るようにわかる。
このように人口が大幅に増えた事で自国のエネルギー資源での発電が追いつかなくなるのは当然と言えるだろう。
自国のエネルギー資源不足
バングラデシュの自国エネルギーは石油、石炭、天然ガスとなっているが、現状ではこのような状況に陥っている。
可採年数とは枯渇性資源の残余量を時間で表したものという事は何も対象しなければ枯渇するので、バングラデシュがこれまで天然ガスの発電容量を増やす投資をしてきた事が分かる。
経済
バングラデシュ経済は好調と言われているが、中国のように急速な経済発展の裏で農村部は低所得者が多く、何十年前の暮らしをしている人達もいる。
低所得層は石油を買う事も難しいので、薪や動物のフンがエネルギーとなってしまっているのがバングラデシュの現状である。
とても先進国の日本では考えられない生活をしている人達がバングラデシュには多いという事が分かるだろう。
そこで残るは冒頭のツイートの内容にあった日本企業の石炭火力(撤退)についてだが、この記事を見て欲しい。
ご覧のようにバングラデシュ電力公社から受注した案件という事が分かる。
また、超々臨界圧石炭火力発電事業とあるように通常の石炭火力では無いので、TOSHIBAの記事から説明文を抜粋しよう。
以上のようにバングラデシュへの超々臨界圧石炭火力発電事業は日本の技術がバングラデシュ政府の国策とマッチした結果ということが分かる。
最後に
石炭火力発電反対にはバングラデシュの農村部の人もいるという情報がある。
一方でこのような情報があるのを知って欲しい。
バングラデシュの農村部では薪や動物フンがエネルギーになっているが、森林を伐採すると森林破壊や土砂崩れを起こしやすいと言われている。
また、薪などの需要があれば不法に伐採をする者たちも存在する。
環境破壊を防ごうと石炭火力発電事業の反対をしている人達が、森林破壊に繋がる生活をしている農村部の人達を巻き込んで反対運動をしているという何度も恥ずかしい話だ。
豊かな先進国の人達は余裕があるが、発展途上国の人達は試行錯誤しながら今を生きているのに何の代替え案も無しに発展途上国を発展を妨げるような事は無責任なのでは無いかと私は思う。
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