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弊会活動に関係する興味深い本

                            鶴田知佳子

弊会活動に関係する内容で興味深い書籍をご紹介したいと思います。

1.「外来語・役所ことば 言い換え帳」
杉並区役所 区長室 総務課【編】 ぎょうせい 2005年8月31日

刊行にあたってのことばが本のいちばん最初にあるが、その中で当時の独立行政法人国立国語研究所長の杉戸清樹氏が「自治体の仕事をことばで説明する専門家を育て、支える一冊」であるとしている。それに続く「美しい日本語で分かりやすい行政を」という文章で、当時の杉並区長、八田宏氏が、3年前の秋にある区民からの手紙に「区の広報誌はカタカナが多く、高齢者には分かりにくい。数えてみたら、8ページに300近くのカタカナことばが使われていた。」との指摘があったエピソードを紹介している。
本全体では、1外来語編、2 ことばの見直し編 に分かれて巻末に、巻末資料として、分かりやすい言葉指針と用語索引がついていて、使いやすい。

2.「国語おもしろ発見クラブ 外来語・和製英語」
山口理 著 偕成社 2012年3月

本の題名にルビがふってあったり、表紙の和製英語のところに「きみの日本語、だいじょうぶ?」と吹き出しでついていたりするところから、日本語学習者を意図しているものであるのは明らか。表紙のうらに次の記述がある:外国から入ってきて日本語になった「外来語」。英語をもとに日本でつくられた「和製英語」。この二つは、日本では、当たりまえのように使われていて、新しくできた言葉も多いんだ。そんな「カタカナ語」の世界を紹介しよう。
 ことばクラブの顧問である先生が、フランスからの留学生、中学からの留学生、アメリカからの留学生に対して解説するスタイルで書かれている。「外来語」では、どこからきたの?この外来語、の解説があり、「和製英語」では・海を渡った日本語①芸術・武道、・海を渡った日本語②衣食住 ・漢字になった外来語 の解説がいずれも興味深い。
 先日、日経新聞でとりあげられた「リフォーム」の解説もある。

3.「東京都外来語言い換え基準」
東京都総務局 発行 東京都総務局総務部文書課 2005年8月

 発行年月は2005年8月であるが、いちばん最初のページに示している「東京都外来語言い換え基準」は平成17年(2005年)3月18日、16総総文第97号として、1.目的にこうある:庁内外に発信する文書においてそのまま使用することが望ましくない外来語について適切な言い換え例を示し、分かりやすく親しみやすく表現され、相手に意思や情報を的確に伝達することができる文書にすることを目的とする。

4.「わかる!使える!外来語辞典」
増井金典 著 ミネルヴァ書房  2021年2月10日

あとがきの部分に、「私は21世紀の日本語の中で、使われているカタカナ語を、新聞、雑誌、広告などから、毎日のように拾い集めた」中略「私は、国語、日本学の学徒として、61年間教壇に立つことができた。これは、なかなか意義深い記録であると自負している。」中略「その間、外来語は我々国語の教員の多くから、きわめて冷遇されてきた対象であった。カタカナ語は、漢語、大和ことばに比べて、解釈や講義に取り上げることはきわめて少なかった。まして、作文、論文などで、特殊な学術用語や固有名詞以外に使用することは、禁じ手はいなかったが、避けるように指導してきたように思い、反省し後悔している。」中略
あとがきの最後は「どうか本書を、机上だけでなく、居間に置いていただきたい。テレビを見たり、談笑しながら、カタカナ語を友にし、知識を世界に求め、外来文化を吸収同化して、より良い世界的な日本人になってほしいと思う。2020年秋、増井金典」と結んでいる。
著者は1928年生まれ。本書は、「はしがき」とこの「あとがき」では著者の思いがうかがえるが、ほかは「日常的に使われる外来語 約1万語を収載」と表紙にあるように、ひたすら辞典としての記述である。

5.「コンサイス カタカナ語辞典」
SANSEIDO’S CONCISE DICTIONARY OF KATAKANA WORDS
三省堂編修所【編】 三省堂  2020年8月27日

最新の第五版では、今現在の世界」を理解するためのカタカナ語4万9300語と、アルファベット略語・記号9200語を収録したカタカナ語辞典。長音をその直前の母音と同じとみなして配列する国語辞書順配列を採用している。もともとは、1972年の初版で百科的な解説のついた辞典。

ご興味ある方はチェックしてみて下さい!

                         (2021年5月13日)


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