南瓜拙考

南瓜拙考。

写真は鶴首南瓜。

在来の野菜を頂いてると,これは流石に家庭では使いづらいだろうなあ。と思うことが多々。

流通の都合に合わさらんなあという規格外の大きさもされど,味も,淡くて。西洋南瓜の甘さに比べるとどうしても弱く感じます。南瓜は熟れたかどうかも外から見分けづらいのも難点です。
日本酒,ワイン他発酵飲料や食品同様,良い時期に味わってあげないと勿体無い。香りを敏感に感じる手もありますが,切ってみて,種を食べて,えぐくなければ。というのもあります。

南瓜に関してはお題を頂くことが多いここ数年でした。
その中でも大きな2つは,南瓜をもっともっと深く考えてください。という撮影ディレクター。子供たちに食べてもらえなくて悩んでる農家さん。

1つ目のお題に対して僕の思った答えは,南瓜はなぜ瓜という漢字がつくのか。これは以前も投稿した事があります。考えてみると,南瓜に瓜っぽさを感じた事は一度もなくて。ホクホクして甘い。デザートにも使われる野菜です。南瓜の瓜っぽさはどこにあるのか?南瓜とずっと向き合うと皮と種にそれを感じることができました。特に種は青々としていて,瓜科で間違いないな。と感じることができます。
そこで,その撮影の際には南瓜の種も一緒に煮込んで,プロセッサーで回して裏漉したスープを作りました。
南瓜なのに青い味。甘みの中に爽やかさがあって,これは瓜だなと思える料理ができて,とても嬉しかったですね。

2つ目の答えは,完熟した南瓜は生で美味しい。というものでした。コリンキーが既にありますが,まさにああいった味。数週間の追熟で種周辺が芳醇な香りをしたものを細切りしたり,しりしりでカットして食べるとサラダにぴったりです。胡麻和えやコールスローも良いと思います。
もそっとした火入れの南瓜にはない食べやすさで,これなら子供たちも食べれるだろうと。味も甘くするだけじゃなく,色々応用できます。お店のメニューでも好評でした。

こうして,一つの野菜のまだ見たことのなかった角度は幾つもあるんだろうなと考えるととても楽しいですし,美味しいものを美味しくする事はもちろん,みんなが手を出しづらくなったものを身近にしたりすることに自分の職業のやり甲斐を感じます。まだ誰も食べてない食べ方を人生で一つでも発見できて,それが世界中に広まればこんないい仕事ないなと思えます。

他の野菜にもまだ魅力は多いはずです。

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