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悲しみの癒し方は時間しかない

色恋沙汰を聞かされることが多い。昔から。
別に恋愛マスターでもモテ男でもないのですが、余計なことを言わないこととか、当たり障りのない慰めをしないところが評価されているのかもしれません。

あとは、聞かされる話の多くが浮気とか不倫とか、仲の良い友達には話しづらい内容であることも一因かもしれません。

誤解のないようにしておきたいのですが、僕は浮気や不倫を肯定しているわけではありません。でも「好きになったのなら、しょうがない」という妙なものわかりの良さは持ち合わせています。

さて、SNSやLINEがコミュニケーションツールの中心となってから、「突然連絡がつかなくなる問題」が多数寄せられます。大抵はLINEの未読スルーかブロックかです。

それをする側は、もう気持ちが冷めたか、会うのが面倒くさくなったか、みたいな大した理由ではないのでしょう。「見なかったことにする」「連絡がこないようにする」ことは片手で2秒で終わる操作です。多少心が痛むことがあるのかもしれませんが、次の日にはもうタイムラインにもトーク一覧にも出てこないのですから、気持ちの整理も早いことでしょう。

しかし、男女問わずそれをくらった側はかなりの精神的打撃を受けます。僕の知る範囲では男性の方が傷が深い傾向にあります。久しぶりに連絡があった知人から相談があると言われれば、「どうやって連絡を取ればいいのか」という内容から始まります。

しかも驚いたことにLINE以外の連絡先を知らない場合が増えてきています。電話番号はもちろん、メールアドレスも知らない。職場や自宅に押しかけるのはさすがにちょっと、、、という内容です。

個人的には職場や自宅に押しかける気概がないのであれば、さっさと諦めるべきだと考えています。コミュニケーションが断絶されている以上、それを復活させるためには会って話すしかないのですから。

それだとストーカーみたいだ、、、みたいなことを言い出す者が多いのですが、そもそも連絡がないということは生死すら確認できないわけですから、堂々と「心配になって様子を見にきた」と言えばいいのです。

相手からすれば「ブロック(または未読スルー)しているのだから察しろよ」という気持ちになるのかもしれませんが、それはやはり卑怯です。相手側を追い詰めた責任があります。振る側にも礼儀や品格が必要なのです。

もちろん別れを決意するにあたり、様々な事情があるのだと思います。私のように、ただ話を聞いているだけの者が首を突っ込む権利は何ひとつありません。しかし、あなたがちゃんと振らなかったせいで、このように聞きたくもない告白を聞かされ、呑んだくれて泣いている者の相手をしなければならない身にもなっていただきたい。

振った側の話を聞かされることは少ないのですが、振られた側の最近の傾向は気持ちの終い方がわからなくなっている、という印象を受けます。コミュニケーションの断絶という側面がそれをより強調しています。

これは年齢が高いほど顕著です。世代論で話をするつもりはないのですが、若い世代ほど、このような事態に備えて深くコミュニケーションしすぎないように距離を取り合っているイメージがあります。そして、中高年以上になると、「腹を割って話す」という文化が根付いているため、理由なき拒絶に対する免疫が極端に低いと感じています。

みんな、いい大人なんだから振られたくらいで泣くなよ、と思われるのであれば、それは大きな勘違いです。心の準備ができていない段階で関係を失うということは想像以上の喪失感があります。どれだけ慰めても、それは本人にしか乗り越えられない思いです。

失恋の痛手を乗り越えるのは今も昔も時間しかありません。時が過ぎるのを一人で待ち続けるのは本当に苦しいでしょう。

もし、あなたの周りの人が不幸にもそのような目に遭ってしまったら、何も言わずに見守っていてください。できれば1ヶ月くらいは。不意に寂しそうな顔をしたら、どこかに誘ってあげてください。別にどこでもいいのです。本人が多少嫌がっても関わり合うことが一番の力になります。

そして、もしあなたがそんな目に遭ってしまったら。近くに話せるような人がいないのであれば、僕に連絡してください。ちゃんと悲しみを受けとめるお手伝いをいたします。






小説や新書、映画や展覧会などのインプットに活用させていただきます。それらの批評を記事として還元させて頂ければ幸甚に存じます。