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「いいものを見なさい」という先生の教え


昨日、書歴1年未満の大人の生徒さんからこんな質問がありました。

「どこの教室で習っても、お手本の字は同じですか?」

「あ、ちょっと違うと思います」

「え?正解は一つじゃないんですか?」

何を持って「正解」としているのか?
「一つ」というのをどこまでの範囲でとらえられているかにもよりますが、
私は正解はあるが一つではないと思っています。

ただ、これも、どのくらい書を書いているか、習っているか、見ているか
の経験によって
欲しい答えも変わるように思います。

今回の、
書歴1年未満の大人の生徒さん
には
「正解はいろいろあるが、今はこれを正解としてこうなるように練習しましょう」
とお伝えしました

私の思う「正解」は古典の中にあります。
古典の中でも最有名な王羲之の「蘭亭序」。
これは全文324字の中に、「之」字が全部で20回出現しますが、全部違うように見えます。

王羲之の蘭亭序の中に「之」一つだけでも答えが20個あることになります。


蘭亭序の中の「之」


書道を始めたばかりの場合で、
入ってる協会の、競本のお手本で課題に取り組む場合は、
お手本を正解として、同じように書けるように練習するのが
良いと思います。
ただ、それだけだとつまらないので、いろいろな字があることを
知ってほしいなと思います。

私はずっと、教育習字というようなカテゴリーの中にいました。
その中であっても、際立って美しい文字を書かれる方はいらっしゃって
憧れるのですが、
また違う協会(先生)の文字には、違った美しさを感じます。

現在の、私の先生は、「良いものをたくさん見なさい」とおっしゃいます。

いろいろな字があることを知ると、古典の臨書をするとき
お手本の見方が変わります。

そいういうことに興味が沸いてくると
いつの作品か
どういう背景か
などにも興味が広がります。

始めたばかりの時は
進級することが一つの目安になりますが
それ以外にも、楽しみをみつけてもらえるように
いろいろな「良いもの」を私も見ていきたいと思います。


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