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言語聴覚士さんとの出会い

回復期退院後にわかった高次脳機能障害。
幸運にも病院でのリハビリに結びついたのですが、ひたすらプリントをやるだけの日々に行き詰まりを感じていました。
そんな時、偶然にも自費の言語聴覚士さんのリハビリ施設があることを知り訪ねてみることにしました。


何気ない一言

まず驚いたのは申し込み時の丁寧な対応です。
ラインのやり取りで始まったのですが、高次脳機能障害を持つ私にとてもわかりやすく要点をまとめてお返事をくれました。

そして夫の同席を求めたところ、快く応じて下さった上「みどりさんにとってベストな方法を3人で考えましょう」と付け加えてありました。

何気ない一言ですが、こういうところに人柄って現れるのではないかなと私は思っています。
転院する時も退院を決める時もいつも本人抜きでした。
高次脳機能障害の検査結果の説明も私は別室で待たされました。
理由はわかりません。けれども私の入院なのに、私の検査結果なのに、私が受けるリハビリなのに、なぜかいつも本人不在であることがとても不満でした。

だから「一緒に考えましょう」は私にとって嬉しい言葉です。
一方的にアドヴァイスされる訳ではなく、私をちゃんと交えてどういう風にリハビリをしていくのがいいか、意思を尊重してもらえそうな気がしました。

丁寧な応対

何度かのやり取りを重ねて先日、初めてお目にかかりました。
時間前には駅のエレベーターの所在や途中に激しいネオンがないかまで事前に調べた上で、待ち合わせ場所までの経路をLINEで送ってくれました。
正直ここまで高次脳機能障害に配慮して下さった方は初めてで、理解してもらえないと感じることが多かった私には本当に嬉しいことでした。

そして到着前にはビルの玄関まで迎えに来てくださり本当に丁寧な方だとお話しする前からほっとしました。

高次脳機能障害についての説明

今まで高次脳機能障害についてのきちんとした説明を聞いたことがなかったと改めて思いました。図を用いたりして噛み砕いて話してもらうことで理解がしやすくなりました。

今回、私がなるほどと思ったのは疲れに対してのことでした。
私は街に出て光や音の刺激にあったり、人と触れ合うことでとても疲れてしまいます。友人との楽しいイベントに出たりすると翌日動けなくなるほどで、いっそのこと家にずっと居た方がいいのだろうか?と思うことさえありました。

すると
「腹筋をしたら筋肉痛になりますよね。音や光の刺激によって脳が疲れるというのは腹筋をして筋肉痛になるようなものなので、疲れたら休むでいいんですよ」という話をしてくれました。

筋肉痛を恐れていたら体が鍛えられないように、疲れることを恐れていたらいつまで経っても脳は鍛えられないのだなと素直に思えました。
疲れること=悪いこと のイメージが払拭できて気持ちが楽になりました。

また、感情の抑制が効かないことも悩みの種で良くなることはないのだろうかと悩んでいましたが、こちらも脳を鍛えることで徐々に落ち着く可能性があることを知りほっとしました。

具体的なアドヴァイス

これまでの病院でのリハビリはひたすらプリントと向き合うだけのものでした。
なので調理の際に火を消し忘れることへの対策や、生き甲斐だった音訳ボランティア、趣味の刺繍などに向けての具体的なアドヴァイスをもらえることがありませんでした。

1番の早道は課題をこなすことのように言われて、それが3年後なのか5年後なのか10年後なのか‥。ボランティアに関してはもう諦めた方が良いのだろうと辞める決心をしました。でも10数年やって来たこと、なかなか思いを断ち切ることができず、結果、高次脳機能障害だけでなくリハビリそのもの、そして生活全般に対してやる気を失くしていました。

ところが今回お会いして、料理に対するアドヴァイスはもちろんですが、ボランティア活動についても刺繍についても一つ一つ練習して積み重ねて行く方法を具体的に教えてもらうことが出来ました。

ただただ100マス計算をやる日々が苦痛だった私ですが、同じ小さな積み重ねでも、具体的にボランティアにつながりそうな一歩なら歩んでいけそうな気がしました。また、ボランティアを再開できるかもしれないと思えたことで生活全般に色が戻ってきたような気がしました。

自費リハビリと出会って


現在、私は2人の理学療法士さん、そして今回の言語聴覚士さんと合わせて3人の自費のセラピストさんにお世話になっています。
そしてそのお三方から感じるのは私に寄り添い支えたいという想いです。

病院勤務のセラピストにもそういう方がいらっしゃることと思います。でも自分の担当者が誰になるかは私たちには決められません。運命とでも呼ぶべき巡り合わせで担当が決まり、自分の将来が左右されてしまいます。

そういうことを鑑みると、今なら回復期に行かずに自宅から自費リハという選択肢もあったのにと思うことがあります。

病院とつながれなくなった人をなんとかしたい。皆さんそういう思いで開業されているように思います。そして皆さんが各々の担当部分を超えて私の生活全般を支えようとしてくださるのが本当に嬉しいと感じています。

しばらくリハビリ全般に意欲が持てず、生活全般に対して投げやりな気持ちになっていました。
でもそんな時もお二人の理学療法士さんがいつも側にいてくださり、そこに今回、言語聴覚士さんも加わって下さったことで更に心強くなりました。

また何かにつまずくこともあるでしょうが、3人のセラピストさんの手を借りながらリハビリを続けていきたいと思います。

言語聴覚士による自費リハビリり施設はまだ数が多くないのか私もなかなか辿り着けませんでした。
他にもあるのかもしれませんがお探しの方のために参考までに施設名を記しておきたいと思います。

ことばとこころの相談室ポケット
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