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その時はそれで良かったんだよ

突然襲われた病

6月のある日なんの前触れもなく、くも膜下出血に襲われました。
血圧もコレステロールも低く、血液検査で引っかかったことのない私が
まさか脳疾患で倒れるなんて想像もしませんでした。

しっかりと意識が戻ったのは手術から2週間も過ぎた頃でした。
そこから始まった入院生活。急性期に2ヶ月、回復期に1ヶ月半の
計3ヶ月半を経てやっと自宅に戻ることができました。

退院後の世界

「麻痺は左足首のみ日常生活に支障はありません」
そう言われて回復期リハビリ施設を退院しました。

なんでもできると思っていた私は
希望と予定をパンパンに詰め込んで家に帰りました。
ところが程なくしてそんなことが夢であることに気付かされました。

不自由だったのは左足首だけだったのに膝から下が痛むようになりました。
さらに左手にも痺れと感覚麻痺がおきました。
冷たいコップを持ったり金属のドアノブに触れると痛みが走ります。
右上半身はくも膜下発症前からの痛みがああります。
これで問題なく動かせるのは右足だけとなってしまいました。

その上わかり始めた高次脳機能障害、どうしていったらいいのか悲嘆にくれる日々となりました。

後悔ばかりの毎日

もっと回復期リハビリ施設を吟味したら良かったのだろうか。
違う施設なら高次脳機能障害に気がついてもらえ、左の手足にももっと違うアプローチをしてもらえたのではないか。
そうしたらもっと違う今になっていたのではないだろうか。

そしてこんな病気になるのなら後遺症を負ってしまうのなら、もっと先にやりたいことをいっぱいやっておけば良かった。
なぜ「やりたい」と思った時に実行に移さなかったのだろうか。
後ろばかり振り向く毎日となりました。

その時はそれで良かったんだよ


先日あるコミュニティのメンバーとオンラインで飲み会をしました。
その際に「やりたいと思った時にやらなかったことを後悔している」
と私が口にしました。

かなり飲んでいたのではっきりと覚えているわけではありませんが、メンバーの一人に

“その時は色んな状況を考えた上で「やらない」と決めた結論だったの
だからそれはそれで良かったんだよ。

もしその時やっていたら今どうなっているかはわからない。
同時に二つの道を選択することはできない。やっていたらもしかしたら悪い結果になっているかもしれない。

その時は自分で一生懸命考えてやらないと選択をしたんだから
「その時はそれでよかったんだよ」”

そんなことを言われました。
どんな理由があってその時「やる」と決断できなかったのか、しなかったのか。詳細は忘れてしまいました。
でも確かに、色々な状況を判断した上で「やらない」ことを決めたのです。

言い方一つで


退院後、弱音を吐くと散々言われてきた言葉
「そんなことを言っていないで前を向かないと」

そういう言い方をされると私は
「それができるならとっくにやってるわよ!」
共感してもらえない悲しみと反発しか湧きませんでした。

でも今回の
「その時はそれで良かったんだよ」

この言葉はだから「後ろを向くな」でも「ちゃんと前を向け」でもなく、私が過去にとった行動を肯定してくれた言葉でした。

私はこういう言い方をされたいのだと実感しました。
過去の行動を他人に認めてもらえたことで自分で自分の行動を受け入れられる気がしました。

だから「ちょっと前をこう!」そんな気持ちになれました。

今後も気持ちの揺れによってすぐ
前を向けなくなってしまうことがあるかもしれません。
でもここにブログに書いておいたら思い出すことができそうです。

「その時はそれで良かったんだよ」と自ら言い聞かせて方向転換できそうな大事な一言をいただきました。