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自費リハビリに1年通って

先日、体験で初めてリハフィットを訪れてからちょうど1年を迎えました。
長かったような短かったようなこの1年。書いていた備忘録も半年前でストップしていますが💦その後も引き続きお世話になっています。

当事者研究者である熊谷晋一郎先生は"自立とは依存先を増やすことである"と仰っています。
私にとってリハフィットはまさに家族以外の依存先だと思っています。
そんな風に感じるまでになったこの一年を振り返ってみたいと思います。


体験に行って

通院していたクリニックの療法士さんに勧められて探した自費リハビリ。ネットで2、3候補を上げつつも何を決め手にしたらいいのか悩み、とりあえず体験に行きました。

丁寧な説明と実際の施術を受けてみて「この人にお願いしたい」そう思い、その場で即決しました。

他の候補に比べると、1番遠く自宅からの交通の便もよくなかったのになぜか最初に体験に行ったのがリハフィットでした。こういうのをご縁というのかもしれませんね。

一年経ってみて、体験のときの直感が間違っていなかったこと。今、「この人にお願いして良かった」という気持ちでいられることに感謝です。

高次脳機能障害について

回復期退院後、うまく表現できない不都合を感じつつ生活していました。
そんなとき出会ったのが鈴木大介さんの著書「脳が壊れた」でした。自分と合致する症状の数々に「高次脳機能障害かもしれない」そう思い、夫にも本を読んでもらいました。
でも「高次脳機能障害はない」と病院で言われていたためか、なかなか理解を得られませんでした。

ある時、リハビリ中に「くも膜下出血前からやっている音訳の録音がうまく出来ない」と相談してみたところ、次のリハビリの時に簡単なテストをしてくれました。

そしてその結果「高次脳機能障害があるかもしれないですね」と家族にもちゃんと説明をして下さいました。そのお陰で夫も高次脳機能障害について真剣に考えてくれるようになり、検査へとつながることができました。

もしリハフィットに出会っていなければ、今だに家族に理解されることもなく高次脳機能障害を1人で抱え込んで生活していたかもしれない、そう思うことがあります。

頭のてっぺんから足の先まで

もともとのきっかけは左足首の麻痺でしたが、その後起きた原因不明の右半身痛や両肩の肩関節周囲炎など全身の状態をみてもらっています。

高次脳機能障害についても色々アドヴァイスをいただいているので、まさしく頭のてっぺんから足の先までお世話になっています。

高次脳機能障害については本来は作業療法士や言語聴覚士の専門分野と聞きました。今お世話になっている方は理学療法士ではありますが、たくさんの脳疾患の方と関わってこられ勉強もされておられるからか具体的な助言を頂けてとても助かっています。

新しい趣味やボランティア活動、旅行の日程など、身体と脳、両方の側面からみて、相談にのってもらえることは本当に心強いです。

特に身体の痛みに関しては
「チャレンジしてみて何かあったらあとはお任せください」
その一言にいつも後押しされます。

療法士さんとは親みたいなもの?

随分前になりますが、
「リハビリをする上で大切だと思うこと」というタイトルで

"患者本人が能動的に動かなければならないリハビリでは「信頼関係」がもっとも重要なのかもしれない"とブログに書きました。

私自身は回復期入院中は担当の療法士さんを信頼していたと思っています。

どなたかが
「患者にとっては担当の療法士さんって親みたいなもんだから」
そんなことを仰っていました。

生まれて初めて大きな病気や怪我をし、後遺症を負って回復期に入院する。そんな人にとって頼れるのは身近な担当療法士さんです。知識がなかったならば「この人の言うことを聞いていればいい」そんな風に思いリハビリに勤しむことと思います。
そういう意味で「親みたいなもの」というのは言い得て妙だなと思います。

私もある意味「親みたいなもの」として回復期では担当の療法士さんを信頼してリハビリをし退院しました。

でも、色んな家庭をみて「あれ、うちの親なんか違う?」そんな風に思うことがあるように、私も「あれ、信頼してたけどなんか違った?」今の療法士さんと出会って思うようになりました。

回復期の担当療法士さんと院内歩行練習をしているときに本棚の前を通りかかりました。「うちの子が小さい頃気に入ってた絵本がここにあるんですよ」と話したら「どの本?ちょっと待って今この本注文するわ」と携帯で注文したということがありました。

そのとき私は「子煩悩なんだな」としか思わなかったのですが、その話を今の療法士さんにしたらとても驚かれました。

「仕事中にお客さんの前で携帯を取り出して個人的な買い物をする」
それと同じことで、確かにありえないことだと後から思いました。でも、その時は「そんなものかな」位にしか思わなかったのです。

感覚が麻痺していたのか、それが「当たり前」と思うくらい信頼していたのか?自分では良くわかりませんが、そう思うとなんだか怖いなと感じます。

寄り添う気持ち

Xのスペースである療法士さんから
「回復期の療法士さんと今の自費リハの療法士さんの違いは何ですか?」
という問いかけを頂きました。

そして私の口から出たのは
「寄り添いですね」という言葉でした。

信頼していた回復期の療法士さんでしたが、今の自費リハの療法士さんと一年接して、療法士さんといってもそれぞれなのだとひしひしと感じています。
もちろん技術の差にも違いを感じますが、1番はいかに自分に寄り添ってくれるかというところです。

痛い時にはもちろん痛みを何とかしようと施術してくれます。でもそれより何より「痛いくて辛い」その気持ちに寄り添ってくれます。
私がうまく出来たり認められた時には、そのことが自分にとっても嬉しいことだと言ってくれます。

入院中にあるプロジェクトから外され落ち込んでいたら
「世の中そんなもんですよ」
そう担当療法士さんに言われました。

それはその通りで間違いではないと思います。
病院を出たらその"世の中"で生きていかなければなりません。だからそういう声かけも「寄り添い」と言えるのかもしれません。

でもその言葉を聞いたとき私には「寄り添われている」という感情はわきませんでした。
感じ方は人それぞれなのかもしれませんが、私は今の療法士さんに寄り添われていると日々思っています。

自費リハビリを受けて

自費リハビリってどうなのだろう?
受けてみる前は自分もそう思っていました。

保険ではないからどうしても高額になります。一括前払い〇〇万円、なんてところもありました。でも都度払いや回数券対応のところもあります。
そして体験ができるところがほとんどのようです。

自費の良さは自分でどんな人にリハビリをしてもらうか選べるところにあると思っています。
そして選んでもらうために努力している人も多いのではないだろうか、そう思っています。

病院や通所などで、もしリハビリ自体が嫌になってしまった方がいるならば自費のリハビリという選択肢も考えてみてもらいたい、1年通ってそう思います。

もちろん病院などの保険診療の施設で頑張っておられる療法士さんがたくさんいることはツイッターなどを通して知りました。
そしてそんな仲間を増やすべく活動をしておられる方もいらっしゃいます。

ただ、そういう療法士さんに担当してもらえるかどうか、自分で療法士さんを選べないことが病院などのリハビリのネックだなと思います。

「患者にとっては親みたいなもの」
そんな風に感じる患者がいると療法士さんが思ってくれたなら
「どう患者さんと関わろうか?」「どう寄り添うのがいいのか?」
もう一歩深く考えてもらえそうな気がします。

これからの一歩

この一年かなりストレスフルな日々でした。
でも今の療法士さんに寄り添われていたからここまで来れたと思います。

こうしてブログを書いているのも、今の療法士さんと出会って色んなことを考えるきっかけを頂いているからだと思います。

これからも体の痛みや麻痺、高次脳機能障害と共に歩んでいかねばなりません。でもその一歩を応援し、寄り添ってくれる療法士さんがいることは本当にありがたいことと思っています。

誰かに寄り添われることは患者にとって何よりの力となります。
この一年を通して自分が実感したのはこのことです。
自分が享受したこと。これからも発信していきたいと思います。