お勉強441:腎がんも定位照射だっ!

https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(24)00020-2/abstract


世界の腎がん定位照射を引っ張る Siva 先生の
非ランダム化フェイズ2の原発性腎がんに対するSBRT試験

ASTRO23で発表された
https://twitter.com/_ShankarSiva/status/1708536038107619416
の論文化

国際的な非ランダム化第2相試験。
オーストラリア7施設とオランダ1施設

対象は
・18歳以上
・生検で原発性腎細胞癌と確定診断
・病変が1個のみ
・内科的に手術不能、
 手術による合併症のリスクが高いもしくは
 手術を拒否した患者
・ECOGのPS0~2
・積極的治療が正当化されるという集学的判断

主な除外基準
・eGFRが30mL/分/1-73m2未満、
・腎細胞癌に対する全身療法の既往
・重複部位に対する高線量放射線治療の既往
・10cmを超える腫瘍
・腎細胞癌と腸との直接接触
・二年以内の治療の癌やアクティブながんがある患者

最大径が4cm以下の腫瘍に(3~3.5cmがRFAなどの限界らしい)
26Gy/1FrのSABR
最大径が4cm以上10cm以下の腫瘍に対して
42Gy/3FrのSABR

いわゆるバキューム性の体固定
4DCTを参考にITV作成。PTVは全方向に5㎜
サプリメントを見ると89%がフリーブレス
D99処方(要は最小線量が処方線量)
OAR近ければD95処方
MAXdoseは125~143%
分割照射の場合は連日照射は×(48時間は空ける)

プライマリーエンドポイントは局所制御

※Response Evaluation Criteria in Solid Tumors (version 1.1)に
 従って治験責任医師が評価した原発性腎細胞癌の進行がないことと定義

1年間の局所制御率を90%と仮定し、
帰無仮説が80%以下の場合は、
将来の無作為化比較試験に進む価値はないと考えられた。

副次的エンドポイントは
・OS
・がん特異的生存
・遠隔転移発生率
・安全性
・腎機能

フォローは大まかにいうと
血液検査、胸腹部CTを
一年目は3か月おき
2年目は半年おき
3年目以降は9か月おき
5年後以降は一年に一回

核医学的な分腎機能のチェックを1/2/3.5/5年目に

治療計画は中央判定の厳密なQC/QAが行われた。

試験治療を開始した全患者が主要アウトカム解析に含まれた。

2016年7月28日から2020年2月27日の間に、
70例の患者が登録
年齢中央値は77歳(IQR 70-82)
登録前に70例中49例(70%)は
初回サーベイランス画像で以前と比べて大きくなっている

70人中49人(70%)が男性、
腫瘍径の中央値は4.6cm(IQR 3.7-5.5)であった。

RENAL scoreの中央値は8
※ 参考 

https://hokuto.app/calculator/gSTMUasGJck5gseHAvpj


PS=0/1/2が37/44/19%
7割が明細胞がん

登録された患者はすべてT1-T2aおよびN0-N1
23人の患者は26Gyの単回SABR(中央腫瘍径 3.3cm)
47人は42Gy/3Fr(中央腫瘍径 5.3cm)

追跡期間中央値は43ヵ月(IQR 38-60)
12ヵ月の局所制御率は100%。
それどころか、経過観察中一例も局所再発なし!
がん特異的生存率も100%

遠隔転移に関しては3年で97%(1例?)
(その後、2例ほど出ている)
OSは1/3年で99%/82%

注目の腎機能だが、
ベースのeGFR平均値は61.1
1年後10.8さがり、2年後14.6下がり、
以降はほぼプラトー
2年時のeGFRは46.5
分腎機能を見ると
患側腎は50%→36%→33% と低下
こちらも2年でほぼプラトー

多変量解析で治療後の腎機能に影響するのは
治療前の腎機能のみであった。

1名だけ透析導入 腫瘍径5.9cmで中央に位置する腫瘍
eGFRは治療前34 1.5年の時点で 7になり透析導入

グレード3の治療関連有害事象は、
悪心・嘔吐(3例[4%])、
腹痛、脇腹痛、腫瘍痛(4例[6%])、
結腸閉塞(2例[3%])、
下痢(1例[1%])

治療に関連した死亡なし

原発性腎細胞がん患者における
非手術的根治療法の最初の多施設共同前向き臨床試験らしい。
(RFAや凍結療法はこの類の前向き試験はない、と述べられている)

RFAよりも大きな腫瘍が治療でき、局所制御率もよい
と筆者らは主張。
腎機能低下は部分切除と同等ではないかと考察している

主にT1b以上の病変を有するコホートにおいて、
局所再発や癌関連死は観察されずSABRは
低侵襲で効果的な治療戦略との結語。

病理で確認しているのもポイント。
経時的に見て増大傾向のものが7割なので
ASの適応ではないと取るべきだろう。
高い治療成績は厳格なQA/QCによるものとも主張

SABR対手術の無作為化試験を将来計画してもいいのでは?という結論

腎がんも定位照射時代!



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