周術期治療、まとめ、およびPACIFICとのすみわけについて考えてみる

毎年年末に書いているのですが、
この半年でさらに変わったので追記
ちなみに前回はこちら

ASCO NEWSのまとめ

https://dailynews.ascopubs.org/do/role-neoadjuvant-and-adjuvant-immunotherapy-resectable-nsclc-and-long

<術前・周術期>

ニボケモ(CM816)

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2202170

イピニボケモ(NEOSTAR2)
※NEOSATRはイピのプラスマイナス
 イピリムマブを加えることで病理学的な反応は良くなった

デュルバルマブ(AGEAN)
論文未

ペンブロ(KN671)

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2302983

トリパリマブ(Neotorch)

https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2023.41.36_suppl.425126

ニボ(NADIM II)

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2215530

https://note.com/nijuoti/n/n638385879ce9


<術後>

PD-L1によってアテゾ(IM010)

https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)02098-5

PD-L1によらずペンブロ(KN091)

https://doi.org/10.1016/S1470-2045(22)00518-6

<EGFRmut関連>

ADAURA

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2304594

<術前ケモラジ>

https://research-er.jp/articles/view/117241

ともう大変な事態なわけですが、
以下私見

<手術不能とは?>
いわゆる「解剖学的切除不能」と「相対的切除不能」
というのが今まであったと思う
multiple N2はどちらかというと、
後者で、ここの部分は病院ごとに異なるところだが、
おそらく今後、resectable multiple N2の
扱いがかなり混沌化してくると思われる

術前の各試験ともmultiple N2はそれなりに
はいっており、その群だけの成績は出ていないが、
成績はそれなりに期待できると思われる。

なによりもそこで局所再発したり、R1/2としても
「そこからPACIFICレジメン」ということもできるので
(たぶん普通のPACIFICよりは成績は悪いが
 一定数はサルベージできるだろうし、
 RT的にも照射野が狭くなるメリットはある)
resectable multiple N2は手術に大きく
傾くと思われる

放射線治療医側としてはサイズでcT4の人が
一番術前ICIやってほしい人である
7㎝以上だとケモラジではほぼoutなので。
R1/2になっても微小なら勝ち目ある。

<PACIFICリアルワールドデータ>

を見ると、PACIFIC試験よりいいが、
1:管理的に内科医が習熟した
2:おそらく甘い「手術不能」が入っている
という可能性を考える。
術前ケモICIを代替する、という成績ととるかは微妙


<どこまで術前ICIする?術後ICIの適応は?>
IA期は手術ですら縮小する方向に向かっているので
まず適応外(医療費的にも)と考える
IBもエビデンスはない。
II期以降が問題か。サブグループ解析が必要と思われる

術後ICIは明らかに効きが悪い印象(HRなどを見ても)
IBとかII期を疑って手術してN2とかの症例で
術後ICIという形になるか

<術前をした上で術後ICIはコンソリで入れる?ケモは?>
正直乳がんや食道がんのようにpCRになったら
コンソリデーションしない、というde-escalationの
考え方はあると思う。

NADIM IIでpCRはケモ群でも再発なし
であったのも個人的理由。

術前ケモしたあとの術後ケモは確かエビデンスはなかったと
思うが、escalcationの考えでpCRにならなかったら
ケモを4Kurぐらい足すのはありな戦略と思う
ICI+ケモはⅣ期の治療を見ても、
ケモのせいでICIが止まる、ということもないのを考えると
この考え方はありと思う。

<術前ケモラジの適応は?>
臓器浸潤cT4は(ある意味セレクションもかねて)
術前CRT+ICIはありだと思う
(今は同時併用はPhaseIIぐらいのエビデンスしかないが…)
肺がんは膵癌などと違い「縮む」ので、
効いたときに切る、コンバージョン手術というのが
肺がんでも出てくる可能性がある

<N3・肺全摘が必要な症例はCRTで決まりなのか?>
これもコンバージョン、サルベージ手術という考えが
今後出てくるように思う。

<EGFR+症例は?>
術前は今回のASCOで

とあんまり期待通りの結果ではなかった。
ADAURAは再発時1stでOsi使える日本では
正直どうなのか?という疑問はおいておいて、
やはりそれなりのエビデンスとして、3Yやることになるのだろう

III期のPACIFICの成績は正直あんまりよくないので、
少し無理して手術してもらうのもありと思っている
それかLAURA trial

<CRTの巻き返しは?>
個人的にはPACIFIC9に期待している

※これのIII相

どちらにせよ
・手術がかなり術前ケモICIで巻き返してきそう
・肺がんでもコンバージョン手術の時代到来?
・手術不能III期のCRTは誇りを持ってやっていきたい

と思ってます

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