お勉強432:どのくらい直腸が残せるか、反応ごとの結果

OPRA trial のサブ解析

OPRA trialの詳細は 
→ https://note.com/nijuoti/n/n6a67b268a722

(最初から臓器温存を狙った試験である)


今回はTNT後の治療評価方法(3段階)での臓器温存率・予後の比較
ちなみに評価法は

内視鏡・直腸診・MRIの組み合わせで一番低いところに合わせて評価。
「メモリアルスローンケタリングの指標」として
現在のスタンダードになっている
ASCO-GI24では

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/229100

MRIより内視鏡のほうが信頼できるツールと

TNTはCRT→ケモ群とケモ→CRT群がいるがそこは無視して解析しているようだ。
評価はTNTの8(±4)週後に
・直腸指診
・内視鏡検査評価
・MRI
(MRIと内視鏡では上記の理由か内視鏡優先だったとのこと)
最終的に温存するかは担当医判断

腫瘍の臨床的奏効を
臨床的完全奏効(CCR)
ほぼ完全奏効(NCR)→この二つはW&Wのオプション提示
不完全奏効(ICR)→基本的には手術推奨

に層別化する3段階の悪性度分類スキーマを考案
W&Wで再発したらTME

304例の適格患者がおり、その内訳は、
内視鏡画像に基づく
CCRが125例(41.1%)
(年齢[IQR]中央値、60.6[50.4-68.0]歳;男性76例[60.8%])、
NCRが114例(37.5%)
(年齢[IQR]中央値、57.6[49.1-67.9]歳;男性80例[70.2%])、
ICRが65例(21.4%)
(年齢[IQR]中央値、55.5[47.7-64.2]歳;男性41例[63.1%])
であった。
(10名リステージングを受けず、ICR群に割付されている)

これらの間で
年齢
性別
肛門縁からの腫瘍距離
病理学的腫瘍分類
は同等。

手術患者の追跡期間中央値(IQR)は4.09年(2.99-4.93)
3年臓器温存率は、全体で47%
CCR患者で77%(95%CI、70%-85%)
NCR患者で40%(95%CI、32%-51%)
(P < 0.001)

※ICRは0%

臨床腫瘍反応は、
無病生存率、
無局所再発生存率、
無遠隔転移生存率、
全生存率
と関連(すべて有意差あり)

反応が悪い群はW&Wせず手術しても予後が悪い
(遠隔転移なども多い)

結論および関連性
TNT後にCCRを示した患者のほとんどが臓器温存を達成。
腫瘍再増殖の確率はCCR患者と比較してNCR患者で高かったが
かなりの割合の患者が臓器温存を達成した。

今回使用された評価法は有用であろう、とのこと。

今後の課題
・NCR患者をさらに戦略的にふるい分けする方法(ctDNA?)
 →ASCOGI24で発表があったので後日記事化予定
・より良いTNT法の開発(3剤ケモ? ICI? 線量増加?)
・RTが必要な群の振り分け(ケモだけでも行けるならそれに越したことはない)
・ICRになってしまうような人にアジュバントをする価値があるか
etc.

日本では完全に出遅れている直腸温存療法ですが、
世界の風は完全にこっち向きに吹いていると感じます

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