お勉強311:JCOG0508 最終解析


JCOG0508 追加解析

http://www.jcog.jp/document/s_0508.pdf

も参照に

176人中内視鏡所見で
74人、内視鏡だけ(GroupA)
87人、予防的CRT(GroupB)
15人、根治的CRT (GroupC)
となり、メインの解析はGroupB

5年のPFSは GroupBで86.2% 全体で87.5%
5年のOSは  GroupBで89.7% 全体で90.9%

JCOG0502では

3年/5年生存率が 
手術で94.7%/86.5% CRTが93.1%/85.5%
というわけで、やはりステージが少し進んでいる分
JCOG0502 の方が悪いのは当然として、それと比較しても
GroupBの値はそれなりに評価されるものと考える
(ただ、縦隔全体にあてる0508と、部分的にしか
 あてない0502とで長期的な心有害事象を考えると
 どちらが低侵襲なのか?という疑問はある
 この辺はJCOGの次の試験が明らかにしてくれるはず)

GroupB/Cでは予防的リンパ節照射を受けたわけだが
96人中11人が領域リンパ節が最初の再発部位で、
再発までの中央期間は16.4ヶ月であった。

(リンパ節再発は11.5%となる
 一般的に手術検体から予想される頻度は
 20-40%とされているので、それなりには効いているか)

それぞれの11例の情報としては、
Ut/Mt/Lt: 0/9/2, pM3/pSM1/pSM2: 1/2/8, ly0/1: 3/8, v0/1: 5/6
という結果。 SM2やv/ly陽性だとCRTではパワー不足か。
8/11は予防照射野内(放射線治療医的にはトホホ)
あとはマージナル1例、
2例は内外両方
7/11のリンパ節領域だけの再発は
6例サルベージ手術、
4例はケモや放射線治療
したけど、1例以外全例死亡。

9例食道がんで死亡1例他病死

GroupBにおいてPFSの単変量解析で
血管侵襲なし、2コースケモを受けていることが
予後良好因子
pT1bやLVIは予後不良因子
故にLVI陽性やケモが十分入らなかった場合は
補助療法としては手術の方がええかも、という考察

リミテーションにQOL解析などを入れておけばよかったという
考察もあり。

総じて、色々な点の反省点は浮き彫りになるも
最初の一手として内視鏡的切除を行う、という方針は
非常にオリジナリティーも高く、成績も良いので
日常臨床で深く入り込んでいるのも納得の結果です。

手術ができる人に対してCRTか手術かは
よくインフォームドチョイスが必要でしょうが、
個人的にはCRTでも十分な成績とは思います。

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