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菜種梅雨

梅雨と聞いたらジメジメ、あんまり気持ちが上がらなくても
菜種梅雨は春へのカーテンみたいでその絹糸のように降るさまは温かいように感じます。

昨日は夏日になったところもあり体にとっては体調管理が難しい時期でもありますが…

この雨できっと公園の草花のつぼみも膨らんで準備万端。この辺りの桜も ちらほらと咲き始めるでしょう。

もう気持ちは春の中、花より団子の私ですが、昨日、桜餅とヨモギ餅を買いました。
最近はコンビニでも年中売っている商品ですが、ちょっと先取りですがやはり春を感じるこの時期に食べるのはまたいいものです。

と言うのもその両方を但馬にいた知り合いのおばさんが毎年手作りで持ってきてくれたのを思い出すからです。

餅米も、桜の塩つけも自家製です。それを重箱にずらりと詰めて遠方はるばる、あの当時なら何時間ぐらいかかったのだろうと思う私にとっては春も一緒に持ってきてくれる存在でした。

「小川の土手に土筆がいっぱい出てきたから、春休みになったら遊びにおいで!」とニコニコしながら話してくれます。

土筆を摘んだりレンゲの冠を作ることにはそそられるのですが、何しろ虫が大きいこと、お風呂が庭の一角にあってそこまで行くのが怖く、またその途中にゴマ模様の大きな番犬の関門を通らないいけないといいろいろ思い出してくるとすぐには「行くー!」とはなりませんでした。

いちばん感激?するのは部屋いっぱいいの大きさの蚊帳の中で寝ることでした。絽のそれはなんだか秘密の洞窟に入っていくようで、中からも外からもやんわりと もやっていてミステリアス。今となってはそんな時期から蚊帳は吊ってあったかなあと思うのですが、頭に中には桜餅とセットになっています。

同年代の子供三人と中でゲームしたり学校の話をしたりと楽しい思い出です。今の子供たちは果たして蚊帳を知ってるのでしょうか?

そこには季節を身近に感じて暮らす贅沢があったような気がします。
私も子供たちにはできるだけ季節を感じる行事や、食べ物。近くの草木を見せましたが、生活の中に自然があることには到底かないません。

今や素晴らしい作品を展示会や遊園地で見ることが出来ますが、人間の手が加わってない本物とは少し違います。

素朴であるそれはあのおばさんの笑顔にも似てこちら迄幸せにしてくれました。

そんなときに居合わせた私は幸せ者と言えるかもしれません。
いつの間にか春雨から夏の蚊帳までも出てきた今朝のひと時でした。

今日もいい日にしましょう!






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