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いびつな扉っていいもんだ

今や建物に入るには多くは自動ドアになってその前に立つだけで、シャーっと開く。難無く内側に入れることに何の疑問も持たなくなりました。当たり前になっています。
荷物を持っていたり子供を抱いていたり、バギーを押しているママたちにとってはありがたい存在です。

梅雨前にやってきたツバメが二重の自動ドアにぶつかりそうになってもいくどか経験するとどこかで人がやってくるのを待っています。

ドアが開くとフューと中に入って、この上ない安全な巣をつくります。

たまに慌てて入ろうとする子供やお年寄りがおでこをぶつけることもありますが…。

そんな便利なしろものにケチをつけるわけではありませんが、私はきしむドア、ノブも小さくて持ちにくく、蝶番があるアンティークな少し重い扉が好きです。不便が楽しいのです!

開けるのに少々勇気がいって、でも入ってみたい。そんな気の小さな私がいたのかと思うほどそーっと丸いノブを回す動作はいつもよりかなり慎重です。

中にいる店の人は、居酒屋のおにいさんみたいに元気では困ります。
ちょっと不愛想で、でも優しい目で迎えてくれる。聞こえるか聞こえないくらいの声で「いらっしゃい」

BGMもテンポのぬるいボサノバ、もしくは空調の音しかしない空間。
黒いギャルソンエプロンのミラノの店員は腰で巻いて何ともセクシーだったのを思い出しました。

オーダーする私「マンデリンをください!」なぜか小さく。
珈琲マシーンの豆を挽く音がここでは低く、うなって…。
一瞬静寂を壊します。

珈琲の香りはフレーバーではなく土のような香りのアーシーがよく合うようです。コーヒーのそれは最も多く脳からα波が出るそうで、リラックスするにはこの上ないのみものです。
それを味わう時はおしゃべりで大きな声の友達よりなーんにも言わない人がいい!なら一人で来よう。
たまには昔読んだエラリークイーンの謎解きといっしょに、その時間に浸りたいと思う寒い今日この頃です。

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