1ケ月ほどで体調はほぼ回復しました。

全てがハンマーで粉々にされたような感じでしたが、もう一度自分のこと、仕事のこと、これからのことを考える時間ができました。

あまりにも多岐に渡るしなければならないことはパズルのピースみたいで元に戻すのは厄介です。

自分の体は無敵ではないこと。寿命は永遠ではないこと。私の頭脳は聡明でないこと。計画性があまりないこと。全てを知らされました。仕方がなかったといえば許されることもありますが、家族を守ることは誰にも頼れることではありません。

元来楽天的でいい加減な私ですが、今回の事件⁉で少しは賢くなりました。

まずは徐々に考えていた仕事を絞ろう。まだまだいけるは考え物。

一つは番頭の病気による引退。みんも年を取って体力の限界を感じているようでした。みんなが納得してやめる日はそう遠くなさそうです。

喫茶店と鉄板焼きの店は、大学生の卒業と就職で区切りもつきやすくなっています。

毎日来てくださった常連さんには申し訳ないのですが、惜しまれるうちが華と言います。どうか許してください。20年お世話になりました。

その日までに準備しないといけないことと新しく始めることのバトンタッチは慎重にしなければと一冊のノートを用意しました。

何も知らない子供たちや、両親に心配をかけたくないと思いつつももう後に戻ることのない決心は日増しに揺るがないものになっていきました。