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薔薇とコーヒーの香り

看板につられてコーヒーを飲みたくなることがあります。

空気が少し澄んできたこの頃、日差しはまだまだ夏の勢いを残していますが、風は秋。

いつもはケーキが必ず並びますが、、今日は一杯のブラックコーヒー。

何のBGMもない室内は少し暗め。小さな窓から明るい外の風景が見えます。

ドリッパー、フレンチプレス、サイフォン、そしてエスプレッソマシーン。他にもいろいろ。その入れ方でコーヒーも違った味わい方が出来ます。

ここはネルのドリップ。コクのあるコーヒーです。いい香りが漂って、もの音のしない静寂な空間は何も考えてはいけないような雰囲気です。作日は芦屋の喫茶店に。

ひとり青年が単行本、スマホでないのがまたいい。初老の紳士はゆっくり新聞を読んでいます。

誰も話さず、このまま外に出ることもないのではないかと思われるような不思議な感覚です。

私のテーブルに白い湯気と一緒に、琥珀色のコーヒー。軽く会釈してカウンターの中に入っていくマスター。

愛想のいいおしゃべりの店主も楽しいですが私はどちらかというとこんな感じの店が好きです。

一口含むと鼻から香りが揺らいで逃げていきます。

誰にも邪魔されない一人だけの時間はゆったりとしています。

お気に入りの喫茶店やカフェは神戸の至る所にあります。大体が路地裏。こんなところに⁈と思われる場所で見つけると嬉しくなります。

誰にも教えたくない、秘密の場所となります。

たまたま散歩中の時もあれば、そこのコーヒーを思い出して足を延ばすこともあり、気まぐれです。

以前、灘の方に民家を改造した喫茶店はイギリス人と結婚した女性が、端正なバラの庭を見てほしいと開きました。

イギリスと言えば紅茶ですが、ここは濃い目のコーヒーとサンドウィッチ。少ないメニューですが、その一つ一つが美味しくて、四季ごとに違う表情のバラを見ながら、ちょっと親せきの家に来たような暖かなもてなしを受けることが出来ました。そんなに大きくない庭が余計に家庭的な雰囲気を醸しています。

積んだバラの花は一輪挿しにさして、可憐に店内で咲いていました。

そんなお店もしばらく行かなくなったら新しいケーキ屋さんになっていました。

一日に5,6杯。日本茶より多く飲みます。

ナイトキャップとはお酒ですが、コーヒーに少しのウイスキーの時もあります。

コーヒー好きは父親譲りでスプーン2杯のお砂糖と生クリーム。先に砂糖を溶かすとクリームは混ぜずにマーブル模様を静かに見ています。白がぐるっと広がって落ち着くとやわら飲み始めます。

たばこの煙とコーヒーの香りは父を思い出す風景ですが、最近は喫茶店も禁煙。

母は日本茶派。料理や気分で煎茶、ほうじ茶、コメの入った玄米茶。

桜の木の茶筒に入れて水屋(台所にある物入)にしまわれていました。今から思うと水屋もなかなか風情のあるタンスみたいなどっしりしたものでしたが、本当は茶室に設けられたかたずける場所のことだそうです。

夏でも暑い日本茶を呑む着物姿はいつも真っ白な割烹着。母の定番でした。

子供たちは私のどんな姿を将来思い浮かべるでしょうか?

今日もいい日にしましょう!





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