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資産形成層に広がる投信 アドバイザーのニーズが一段と高まる

投資信託に関するアンケート調査報告書(2021年度版)が公表され、3月29日(火)には記者会見も開かれた。興味深いポイントがたくさんあったので、いくつかご紹介したい。結論を先取りすれば、ここ何年かで投信は急速に資産形成層にも利用が広がっている。そしてその中心は米国を中心とした外国株投信にシフトしている。相場のことだから荒っぽい局面もあるだろうと思う。今後は適切なアドバイザーのニーズが一段と高まるだろう。

〇投信保有は30代、40代で劇的に増加


投資信託の保有状況を尋ねたところ、「現在保有している」との答えは、
19年=22.3%、20年=23.4%、21年=27.9%。
年々保有が広がっているが、特に20年から21年にかけての変化が大きい印象だ。これを年代別にみると傾向がはっきりする。
30代。19年=20.3%、20年=23.7%、21年33.2%。
直近1年の変化は9.5ポイントで、これは激増といってよいのではないか。
40代。19年=21.2%、20年=23.6%、21年=29.5%。
30代から40代、いわゆる資産形成層の間で劇的に保有が広がっている様子が明らかだ。

〇つみたてNISAの普及が続く


この大きな背景となっているのがつみたてNISAだ。投資信託の保有口座を尋ねた質問に対して「つみたてNISA口座」を選択した回答の割合が増えている。これも年代による特徴が明らかだ。
20代 19年=39.2%、20年=48.0%、21年=61.3%。
30代 19年=32.7%、20年=39.8%、21年=54.5%。
40代 19年=20.2%、20年=29.2%、21年=44.8%。

つみたてNISAが一つの呼び水となって資産形成層の資金が積み立ての形で投信市場に流入する動きが顕著だと言える。今回の調査を離れるが、こうした傾向は次第に株式相場の動向にも影響を与えるようになっていると思う。毎月の投信動向を見ていても、対面証券を通じて売る投資信託はどうしても相場付きによって流入動向にばらつきがある。一方でネット証券を通じて積み立てで流入していると思われるインデックス投信などは、少なくてもこれまでのところは相場動向に関係なく着実な流入が続いている。少しずつではあるが、個人投資家のこの根雪のような資金流入は相場の下支え要因として効いているように思う。

〇初めて「外国株」が「国内株」を上回る


もう一つ今回の調査で興味深かった点。保有している投資信託の種類を尋ねた(重複回答)ところ、「外国株式投資信託」との回答が初めて「国内株式投資信託」を上回った。
外国株式投資信託 19年=37.2%、20年=43.6%、21年=53.9%。
国内株式投資信託 19年=58.1%、20年=54.4%、21年=50.2%。

もともと投信を保有している投資家の間では国内株投信を売って外国株投信に乗り換えているように見えるし、前段で述べた新たな参加層、資産形成層は最初から米国株インデックスなどに流入しているのだろうと思う。

ちなみに調査時期は2021年11月で、インフレ懸念も今ほど深刻ではなかったし、ウクライナ情勢については普通は予想しにくい頃。米国株の強さが圧倒的に目立っていた時期だ。このところの荒っぽい値動きをみていても、最近、参加しつつある新たな層には長い目で適切なアドバイザーが必要だと感じる。

29日、同日に投信協会が公表した「金融商品仲介業者(IFA)」を対象にした意識調査では、IFAを利用する投資家が相談相手として最も頼りにしている人は、ユーチューバーやSNSで知名度のある専門家などと答えている。IFAの信頼度はまだ、従来型の金融機関の担当者に及ばない結果となった。

詳しい内容を知りたい方はぜひ投信協会のHPをあたってほしい。
投資信託に関するアンケート調査
投資家及びIFAに関するアンケート調査

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