直居敦(なおい・あつし)

日本経済新聞社に入社。証券部、日経マネーなどを経て、今はマーケット・経済専門チャンネル…

直居敦(なおい・あつし)

日本経済新聞社に入社。証券部、日経マネーなどを経て、今はマーケット・経済専門チャンネル、日経CNBCで主に「朝エクスプレス」という番組を担当しています。幅広ーいことが経済やマーケットとつながっているため、どうしてもいろいろなところを「見て」「歩いて」「感じる」――日々です。

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  • 市場徒然歩記

    直居敦が「見て」「歩いて」「感じた」ことを書いてます。「朝エクスプレス」では毎日誰か、興味深いゲストをお迎えしています。番組は朝からせいぜい午前中。午後からは打ち合わせにいったり、証券取引所のある茅場町、日銀の本石町、その他、てきとーに色々なところをうろうろしています。そんななかで感じた雑感が「市場徒然歩記(しじょうつれづれあるき)」。投資のヒントがあるかもしれないし、全然ないかもしれません(笑)。

最近の記事

6割の投資家が今年中の最高値更新“あり”!--配信番組でのアンケート調査から

“6度目の正直”で33年10カ月ぶり高値へ 連休明け9日(火)は、日経平均株価の終値が385円76銭(1.2%高)の3万3763円18銭。昨年7月3日に付けた終値ベースの昨年来高値、3万3754円を超え、33年10カ月ぶりの高値圏で取引を終えた。日本の連休をはさんで米国金利が落ち着きを取り戻し、米エヌビディアがおよそ1カ月半ぶりの高値を更新。日本でもハイテク、半導体関連の上昇が目を引いた。ちなみに昨年の秋から暮れにかけて、この昨年7月の高値を取引時間中に越えながら、終値では

    • 自信を持ってお勧めできる「11+1冊」    直居的2023年ブックレビュー

      2023年もたくさんの良書に出合うことができました。広い意味で今の経済と社会、歴史、未来、自分を知るうえで貴重な糧になっていると考えています。あともちろん単純な楽しみ。僕の場合、傾向としてここ数年は資本主義の問題、人類学的なアプローチに惹かれていると思います。原則として2023年発行(22年11月以降くらいから)のものを10冊選びと思ったのですが、どうにも11冊になってしまい(笑)、かつ23年の本でないものが1冊、とにかく「これは関心のある人に薦めたい!」と感じたものを優先さ

      • 2024年元旦の紙面から 政治不信、国際社会の分断が問われている

        元旦紙面、各紙のアタマとワキ、社説のタイトル一覧 <日経> ・企画アタマ 昭和99年ニッポン反転 解き放て 世界に出よう ・ワキ イオン、パート7%賃上げ 今春、国内最多40万人対象 ・社説 分断回避に対話の努力を続けよう <朝日> ・アタマ 安倍派「中抜き」裏金8000万円か 派閥に納めず 下村氏約500万円 ・ワキ企画 8がけ社会、縮小の先に 現役世代が8割に減る2040年 作家・多和田葉子 ・社説 紛争多発の時代に 暴力を許さぬ関心と関与を <読売> ・アタマ 移植見

        • 2023年、日経平均28%上昇 来年こそ“予告が実現する年”になるか?

          12月29日(金)、東京証券取引所は大納会。今年の日経平均株価は、昨年末に比べて7369円67銭(28.2%)上昇して3万3464円17銭で取引を終えました。上昇率28%はアベノミクス初動の2013年(57%)以来、10年ぶりの大きさ。株式市場にとっては予想以上によい環境のまま終えたと思います。 株価上昇を支えた企業改革、外国人買い、米利下げ期待・・・ 力強い上昇の背景は大きく3つくらいでしょうか。 ①    昨年再編された東証の市場改革。今年になってPBR1倍割れ企業に

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          『金融教育。誰が、何を、どのように?』製作note

          11月30日(木)15時45分から初回放送の金融市場ドキュメント④「金融教育。誰が、何を、どのように?」。先週までに様々なチェック、社内のもろもろの手続きやナレーション収録なども概ね終えた。ホっと一息ついた感じがある。 国家戦略になった金融教育 この金融市場ドキュメントのシリーズでは、③として「お金の話。誰かに相談できますか?」という番組を作って7月下旬に放送している。③と④はいわば一対、車の両輪のような関係にある。11月20日に臨時国会で金融経済教育推進機構の設立に関す

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          金利!金利!金利!ーー波乱の9月マーケット、米政府機関閉鎖懸念など暗雲

          米金利に翻弄される市場――ナスダックは9月に5.8%下落 金利、特に米国の金利の動きに翻弄された印象の9月のグローバルマーケットだった。9月月間ではNYダウ工業株平均は3.5%下落。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は5.8%と大きく下落した。ハイテク、グロース株は金利の影響を受けやすいという教科書通りの展開。ナスダックの下落率は昨年12月以来9カ月ぶりの大きさだった。 TOPIXは月間で今年初めての下落 一方、日経平均株価は9月月間で2.3%の下落。米国に比べれば

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          色々と話題の映画『バービー』――“はちゃめちゃ”だが深い……。

          原子力爆弾の開発をリードしたオッペンハイマーを描いた『オッペンハイマー』とともに全米で大ヒット中の映画『バービー』を見てきた。バービー人形の実写版というか、バービーたちの完璧な世界「バービーワールド」と現実の世界を行ったり来たりする、ひとことで言えば“はちゃめちゃ”な展開なのだが、とても深い。ワタクシは深く感銘を受けました。「映画ってこんなことできるんだなぁ」と余韻に浸っているのである。  何かと物議を醸している“バーベンハイマー”   アメリカでは『オッペンハイマー』と

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          「セゾン投信のこれから」――園部社長生出演書き起こしとポイント解説

          6月28日(水)、セゾン投信を創業以来けん引し、積み立て王子として長期、積み立て投資の伝道師ともいえる役割を果たしてきた中野晴啓会長が退任した。中野氏本人はメディアなどのインタビューで「不本意だ」などと話しており、新たな運用会社の設立を目指していると伝えられている。中野氏の考え方に賛同、共感して投資を続けてきた多くの受益者には不安が広がっていることだろう。日経CNBCでは7月6日(木)、朝エクスプレスにセゾン投信の園部鷹博社長に生出演していただき、中野氏退任の経緯や、今後のセ

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          映画『怪物』をみて考えている。人の複雑さ、そして優しさ

          是枝裕和監督の映画『怪物』。もうご覧になった方も多いのではないでしょうか?坂本裕二さんの脚本がカンヌ映画祭の脚本賞を受賞したことで随分メディアなどで取り上げられました。また、亡くなった坂本龍一さんの最後の映画音楽作品となったことも話題です。 “怪物”だーれだ? 少し前に映画館で予告編のころからみかけてはいたのですね。「子役がカギらしい」ということは分かるのですが、いったいどんな映画なのか、ちょっと分かりにくい印象でした。「まあ、よく分からないけれど、是枝さんだし、脚本賞と

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          日経平均33年ぶり高値! 典型的「もうはまだなり」か?

          5月19日(金)の日経平均株価は7日続伸。終値は3万808円35銭と、2021年9月14日につけたバブル経済崩壊後の高値(3万670円)を上回り、1990年8月以来およそ33年ぶりの高値となった。17日(水)に終値で3万円の乗せたときには、大台達成感から「もういったんは一服だろう」という雰囲気が漂っていたように思うが、週後半に向けてむしろ加速する動きをみせている。 「“恰好イイおじさん”銘柄が増えている」 「“キレイなおじさん”銘柄、“恰好イイおじさん”銘柄が増えている」

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          “植田日銀”の読み解き方――円安・株高が「正解」とは限らない

          植田和男新総裁になって初めての日銀金融政策決定会合(2023年4月27-28日)と植田総裁の会見は、マーケットに安心感を与えたようだ。28日(金)13時、「大規模緩和維持」「YCC修正なし」「25年の緩和検証へ」といった決定内容が伝わると、市場は円安・株高で反応した。緩和姿勢維持の方針とともに、1年から1年半をかけて多角的レビューにより過去25年の金融政策を検証する――といった内容が当面は(あるいは1年から1年半は)緩和姿勢を維持すると受け止められたようだ。大手銀行株が乱高下

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          『街とその不確かな壁』(村上春樹著)を読んで

          村上春樹さんの6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』。すでに色々と紹介されているのでご存知の方も多いと思うが、文芸誌『文學会』に1980年に発表された中編『街と、その不確かな壁』をリライトして完成させた小説だ。   ネタバレにならない範囲のあらすじはこんな感じ――。17歳当時の「僕」が、本当に想い焦がれていた16歳の少女がある時ふと姿を消してしまう。その少女が思い描いてきた想像上の精神世界である「壁の中の街」に行ってしまったらしい。その街では誰も影を持たない。その代わりに世

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          「奇妙な楽観」か?「予想通りの波乱」か?――金融不安の中での株式相場堅調

          3月20日(月)-24日(金)の日経平均株価は週間で0.2%上昇とほぼ横ばい。一方ダウ工業株30種平均は1.2%上昇、ナスダック総合指数は1.7%の上昇で終えました。この週に起きたことや週末にかけてのニュース、新聞紙面を見ると、ちょっと不思議なほどの株式相場の堅調さ。奇妙な楽観にも見えます。 月曜日の朝、綱渡りの政策対応? 米SVBから中堅銀行破綻が続き、さらにそこから欧州王手クレディ・スイスの経営不安に飛び火。日本時間で13日(月)の朝にはSVBの預金全額保護、20日(

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          投資家サーベイ「黒田総裁の通信簿」――そして次期総裁の課題は?

          日経CNBCが毎月実施しているアンケート調査「投資家サーベイ」。2月2日~6日にかけて「黒田総裁の通信簿 あなたの評価は?」というテーマで行いました。2期10年の任期を4月8日に全うしようとしている日銀の黒田東彦総裁。異次元緩和、マイナス金利、YCC(イールド・カーブ・コントロール)と、次々と非伝統的金融政策の領域を広げながらも、政策目標である安定的な消費者物価2%の上昇は、達成できないままです。一方で大量の国債や株式ETFを購入するなかで、今後に残される課題もまた相当なもの

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          信越化学・金川経営から学ぶこと――「基本をとことんやり抜く」凄み

          信越化学工業の金川千尋会長が1月1日亡くなった。享年96歳。この日をもって会長職を退任した。金川さんは1990年に社長に就任、2010年からは会長として信越化学をグローバル企業に育てあげた名経営者だ。僕は90年代に、日本経済新聞証券部記者として短い期間、担当した。その後も長きに渡って、折々お話しを聞く機会をいただき、日経CNBCの番組にも何度か登場していただいた。逝去の報は、“金川経営”の本質、神髄を改めて考える機会となった。1月27日(金)、化学業界担当のアナリストとして、

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          藤野英人さん、レオスのこれからを語る――志・技・経営をどう受け継いでいくのか

          1月12日(木)、日経CNBCのゲストトークコーナーにレオス・キャピタルワークスの会長兼社長、藤野英人さんをお迎えした。藤野さんは、日本で最大級の投資信託、ひふみ投信シリーズを運用し、個人投資家の関心も高いファンドマネジャー。そして、独立系運用会社レオスの創業者、経営者だ。番組では昨年にいったんは引き継いだひふみ投信の運用責任者に復帰した件から話を聞き始めた。以下番組でのインタビュー内容の書き起こしに加え、直居の若干の感想を記した。   (直居) 今日のゲスト、藤野英人さん。

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