見出し画像

高円寺の老舗銭湯・小杉湯とニッコーバンで『働く人の湯』を開催。その背景にある想いとは?

JR中央線の高円寺駅から徒歩5分。商店街を抜けた先に、多くの人を引き寄せる銭湯があります。昭和8年創業の老舗銭湯『小杉湯』です。

創業当時からの建物を守りつつ、時代に合わせて中身を変え続け、高円寺で暮らす人々とともにあり続けてきました。

浴室内には、名物ミルク風呂をはじめ、週替り・日替り風呂。また交互浴に適した熱湯と水風呂があり、交互浴の聖地としても広く知られています。

そんな小杉湯と日廣薬品がコラボレーションし、2024年2月23日(金)から25日(日)の期間限定で『働く人の湯』を開催することになりました。

日廣薬品のひび・あかぎれ向け絆創膏「プラチナバン」にプラチナ微粒子が使われていることを勘案し、期間中は整肌作用のあるプラチナを配合した入浴剤を入れた【肌が整う】お風呂が登場します。

とはいえ、絆創膏ひとすじの会社が、なぜ銭湯とイベントを開催するのか?

その背景にある想いを伝えたいと思い、日廣薬品の社長・金尾元信と小杉湯の代表・平松佑介さんへのインタビューをお届けします。

------✂------

根底にある想いは「働く人を支えたい」

--『働く人の湯』の発起人は金尾さんと聞いています。どういう経緯で、この企画が生まれたのですか?

(▲)日廣薬品の金尾元信と小杉湯の代表・平松佑介さん

金尾:
絆創膏の会社が銭湯でイベントをするのって、確かにすごく謎ですよね。社内でこの企画を初めて説明した時も、担当者の頭の上に「?」が浮かんでいるのが見えました(笑)。

ただ、そこには明確な理由があって、最近私が社内でいつも言っているのが「絆創膏を作る会社から、働く人を支える会社に生まれ変わろう」なんですね。

私たちの看板商品であるニッコーバンは、丈夫で水に強く、はがれづらくて、肌になじむのが特長です。それゆえ、お仕事で手指を酷使される様々な職業の方々から長年ご支持をいただいています。

実際にニッコーバンをご愛用いただいているお客様に話を聞かせていただくと、「ニッコーバンじゃなきゃダメなのです。探してでも買いにいきます」
「世界が変わった」「持っているだけで安心できる、お守りのような存在です」といったお言葉をいただきました。

--メーカー冥利につきる言葉ですよね。

金尾:
絆創膏ひとすじに長年やってきた私たちですが、こんなに自分たちの商品がお客様の生活において欠かせない存在になっているとは想像していませんでした。絆創膏で、お客様に世界が変わったと言っていただけている。驚きと喜びで、お客様と話しながらぐっと胸に押し寄せるものがあり、涙がでたことを今でも覚えています。

それまでも3代目として真剣に仕事へ打ち込んできたつもりでしたが、仕事への向き合い方が格段に変わりました。

お客様の生の声をお聞きして、「家業だから継いだ」から「自分の人生をかけて絆創膏屋の社長をやりたい」という強い覚悟を持って臨めるようになりました。私は、お客様に自分の人生を変えてもらったと思っています。

同時に、「私たちの商品を必要としてくれているお客様のために、もっとできることはないか?」と深く考えるようになりました。

コロナ禍もあり、現場で、自分の手で、指先を酷使しながら誠実に仕事に向き合い働く方々こそが日本社会を支えてくださっている、ということを強く実感した時期でもありました。

このような気持ちを一言で表したのが「絆創膏を作る会社から、働く人を支える会社に生まれ変わろう」という冒頭でご紹介した言葉です。

そして、働く人たちが集まる場所に出向いて、働く人たちを少しでも応援できるようなことができないか、という軸で色々な人と話す中で、ご縁があって小杉湯さんと出会いました。

--なるほど。「働く人を支える」という考えのもと、銭湯に辿り着いたのですね。

金尾:
そうなんです。小杉湯さんの近くには古くからの商店街があります。遅くまで働かれる方々が心身の疲れを癒せるようにと、小杉湯さんは、なんと深夜の25時30分まで営業をされています。小杉湯さんの働く人達を支える気概に感動し、ぜひともご一緒したいと思いました。その気持ちを平松さんにお伝えしたところ、ご了承をいただいたのが、この企画の出発点です。

平松さんが感じた、小杉湯と日廣薬品の共通点

--ここからは平松さんにお話を聞いていきたいのですが、日廣薬品からのオファーを受け入れてくださった理由は何だったのですか?

平松さん:
そもそもの前提として、小杉湯が大切にしているのは、祖父の頃からの家訓である「きれいで、清潔で、きもちのいいお風呂を提供する」ことなんですよね。

朝昼晩いつ来ても、気持ちのいい銭湯の体験をお客様に提供する。それによって日常の小さな幸せをお届けする。それが僕らがお客様に提供できる価値ですし、その価値を守り続けていった先に、100年後も小杉湯が存続している未来があると思っています。

なので、コラボ企画についても、僕らが提供できる価値を高められそうだと思ったらやるし、そうでなければお断りする。そうしたシンプルな考えのもとでやっています。

そして、今回の日廣薬品さんとの取り組みで言えば、小杉湯のメンバーのYさんからの紹介であることが大きいです。Yさんは元々は小杉湯のお客さんで、次第に小杉湯の色々な活動を手伝ってくれるようになりました。小杉湯の常連さんでもあり、ファンでもあり、仲間でもあるという、不思議な間柄です(笑)。

そんな風に小杉湯のことを応援してくれるYさんから「日廣薬品という面白い会社があって、小杉湯とも共通点が多いので、よかったら会ってみませんか?」と言われたので、断る理由がないと思いました。

--その後、お互いのことをよく知ろうと、平松さんを含めた小杉湯のメンバーが日廣薬品の工場見学に来てくれました。実際に中を見てみて、どんな感想を持ちましたか?

平松さん:
日廣薬品さんは歴史がある会社なので、昔から使われている古い設備や機材がたくさんありますが、それらをすごく綺麗に使っているのが印象的でした。なんというか、そこで働く人たちの愛情のようなものを感じたんですね。

そこは僕らとも共通するところで、小杉湯の裏側も昔から使われている設備や機材がすごく多いんですよ。「そういったものを大切に扱っていこう」と、小杉湯で働くみんなによく伝えているので、ここは見習うべき点だなと思いましたね。

金尾:
小杉湯の皆さんが「この配管、綺麗ですね」と言ってくださったことが、すごく印象に残っています(笑)。普段から設備を大切に扱っている人たちならではの着眼点だと感じました。

平松さん:
あとは、工場で働いている社員の皆さんとも話をさせていただいたんですけど、自分たちの商品へのこだわりがすごく高いですよね。細部まで手を抜かず、間違いのない商品を届けようとする気概を感じられたのが、すごく大きくて。

小杉湯で働くみんなも、毎日の清掃をものすごく丁寧にやってくれています。小杉湯の一番の強みは何かと言われたら、「きもちのいい小杉湯を営業しよう」という、働く人みんなのこだわりだと思っているんですよ。

そういう姿勢はすごく共通していると感じましたし、その先にはやっぱりお客様がいて、「働く人を支えたい」という想いがある。工場見学に行かせてもらったことで、改めて日廣薬品さんと一緒にコラボレーションする意味を感じることができました。

同じ3代目として、平松さんから学んだこと

--日廣薬品側でも小杉湯さんをより知るために、従業員の皆さんと共に小杉湯の清掃に参加させてもらいました。金尾さんは、どんな感想をもちましたか?

金尾:
小杉湯の一番の強みは、小杉湯で働く皆さんのこだわりという話がありましたが、そのことを肌で感じさせてもらいました。

決められたマニュアル通りに行う掃除って、どうしても限界があると思うのです。一方、小杉湯さんでは、皆さんが自らの意思で率先して掃除をされている。だから当然手は抜かないし、喜んで全力を尽くしている感じがしました。

平松さん:
そういう風に感じてもらえたなら、すごく嬉しいです。

金尾:
理念だけが立派で、現場に理念が浸透していないことって、よくあることじゃないですか。でも、小杉湯さんは全くそんなことがない。自分たちの理念に嘘がない。これはすごいと率直に思いましたし、見習っていくべき点だと感じました。

--金尾さんはこの他にも、色々と小杉湯さんから影響を受けていると聞きました。

金尾:
そうです。実は、小杉湯さんとの共通点は他にもあって、両者とも祖父が地方から東京に出てきて、既にあった銭湯や工場を買い取って事業を始めています。

平松さんのお爺様は、新潟のご出身で、飲食店で稼いだ資金や銀行から借り入れてきた資金を元手に、既に高円寺にあった小杉湯を買い取ったとお聞きしました。私の祖父は富山の薬売りをルーツにもっていて、富山から東京に進出する際に、東京の絆創膏の会社を買い事業を始めました。

そして長い時間が経ち、お互いに3代目です。創業時とは違って、銭湯も絆創膏屋も「斜陽」と呼ばれるような産業だと思うんですね。その中で、どうやって自分たちの銭湯や会社を未来に継承していくか。向き合っている課題が似ていると感じました。

平松さん:
本当にそうですよね。金尾さんと話していると、3代目あるあるがどんどん出てきて、共感できるところが多い(笑)。

金尾:
その中で、平松さんは新しい取り組みに次々と着手されていますよね。色々な企業とのコラボレーションもそうですし、小杉湯の隣にコワーキングスペースを設けたことや、2024年には原宿の商業施設の中に2店舗目となる小杉湯を出店するとお聞きしました。

大切に守り続けていくべきところは守りつつ、時代に合わせて変化すべきところは変えていく。そのメリハリがすごいと思っていて、同じ3代目としてたくさん学ばせてもらっています。

ですので、小杉湯さんから学ばせてもらったことをもとに、日廣薬品の社内では次々と新しい取り組みを始めています。そういう意味でも、小杉湯さんとご縁をいただいたことは大きかったと感じています。

『働く人の湯』で注目していただきたいところ

--では、最後に『働く人の湯』について話を聞いていきたいと思います。今回のイベントのために、オリジナルの入浴剤をつくったんですよね?

金尾:
はい。せっかくのご縁なので、もう本気でいこうと思って「日本を温める」をブランドコンセプトに掲げている入浴剤メーカーの健美薬湯さんに相談させていただきました。
最初は電話で問合せをしたのですが、あちらからすると「絆創膏の会社が、なんで入浴剤を?」という感じだったと思います(笑)。その後、健美薬湯さんの本社がある名古屋に足を運び、松田社長に企画の趣旨をお伝えしたところ、「一緒にやりましょう!」と言ってくださりました。

平松さん:
小杉湯でも健美薬湯さんにはすごくお世話になっています。松田社長は行動力があって、面白い方ですよね。

金尾:
本当にそう思います。今回の入浴剤を作成するにあたり、松田社長をはじめ、健美薬湯の皆さんにご尽力いただきました。湯色や香りだけでなく、湯心地みたいなところも考慮して試作に試作を重ねました。
納得がいくまで何度も試作にお付き合いいただき、完成までに1年程かかりましたので健美薬湯の皆さんに本当に心から感謝をしております。

開発にあたっては、様々なアイディアを議論させていただいたのですが、最終的には「プラチナバン」にフォーカスする形になりました。

プラチナバンは、あかぎれやひび割れで悩む方向けに作った絆創膏なのですが、粘着剤に抗菌成分としてプラチナ微粒子を配合しています。
健美薬湯さんとの打ち合わせの中で、一般的にプラチナは肌を整える美容成分としても広く使われ、入浴剤にも配合可能だということを知り、「働く人を支える」日廣薬品オリジナルの入浴剤にピッタリだと思い配合しました。

『働く人の湯』に浸かり、お肌が潤い、荒れた指先や肌が整う。日廣薬品オリジナルの入浴剤を使ったお風呂が『働く人の湯』では登場しますので、ぜひ浸かりにきていただきたいです。

--他には、『働く人の湯』にお越しいただいたお客様に注目していただきたいものはありますか。

金尾:
今回のお風呂企画では、ニッコー製品をいつもご愛顧くださっている方々もご紹介する予定です。
飲食店の方をはじめ、皆さん様々な職業のプロフェッショナルな方ですので私自身この方々を心から尊敬し、仕事に向き合う姿勢をいつも勉強させていただいております。

企画の趣旨をご説明しましたら、皆さんこの不思議な(笑)企画に対して、いいね!とご快諾をいただきました。本当に感謝しかありません。
ご賛同いただいた方は飲食店の方も多いので、もしご興味を持っていただけましたらお店に足を運んでいただけましたら嬉しいです。

先程も申し上げましたように、製品をご愛顧いただいているお客様のおかげで、私は人生をより良い方向に変えていただきました。お客様の声から、「本気で絆創膏屋の社長をやろう!」という決心が固まりました。ですからお客様に少しでも恩返しがしたいし、こういう機会がきっかけで新しいご縁が生まれることを願っております。

小杉湯さんとこのようにイベントができますのもご縁あってのことです。私たちはこれからもご縁を大切にしていく会社でありたいと思っております。

純粋に小杉湯さんが素晴らしい銭湯なので、願わくば、私共のお客様にもぜひこの機会に小杉湯さんのお湯につかり、私たちの想いを込めた『働く人の湯』を楽しんでいただけたら最高に嬉しいです。

編集協力:井手桂司

------✂------

日廣薬品のnote公式アカウントでは、お客様と一緒に、この場を育てていければと思っていまして、読者アンケートをお願いしています。記事の感想、企画のリクエスト、私たちへの応援メッセージなど、なんでもOKです!

是非、コメントいただけると嬉しいです!

ニッコーバンを作る人と使う人の繋がりや、温度感みたいなものを、noteを通じてお届けしていけたらと思っています!

<読者アンケートはこちら>

https://questant.jp/q/6S35Z6VU

また、日廣薬品ではTwitterのアカウントもやっています。note記事の元ネタをつぶやいたりします。よかったらフォローいただけると嬉しいです。

https://twitter.com/nikko_yakuhin/status/1465534286228979716

試供品のお申し込みはコチラから

https://nikkoban.jp/contact/

日廣薬品株式会社 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?