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ハチクロのその先

3月のライオン14巻が発売された。3月のライオンを待ち望んでいる僕としてはとても待ちに待った日だ。

ここからはネタバレになります。

今回の3月のライオンに出てくるハチクロのキャラクターについてだ。団体将棋大会に間山の就職先であった藤原デザイン事務所の面々が登場する。その中で野宮さんが山田さんのことを「奥さん」とよんでいる。そして、間山がりかさんのことを「彼女」とよんでいる。みんなそれぞれがそれぞれ結ばれたのだ。ただ、ハチクロを読んだことのある人ならこれがきれいなハッピーエンドだとは到底思えない。なにせ、山田さんは間山のことが好きで、りかさんは事故で最愛の人をなくしているのだから一筋縄ではいかない。

3月のライオン最新刊。学園祭に団体戦のため参加できない桐山くんがここ1年を回想するシーンが挟まる。あぁ、いろいろあったなといえばそれまでだが、そのいろいろあったな、こそが現在の関係性やつながりに深みを持たせている。

それを踏まえたうえで、3月のライオン内のハチクロメンバーのシーンに戻ってみる。

つまり、野宮さんと山田さんが結婚して、間山とりかさんがつきあってて、花本先生とはぐちゃんが一緒にいる世界で、女に振り回されている話がいいのか。

結局のところ恋愛は擬似家族に勝てないというテーゼがハチクロから3月のライオンに向かうときの羽海野チカの方向転換であり、彼らの世界でみながここで一緒にいるのではなく、みんなでいるのいいよね、という擬似家族エンドに持っていったのだ。

ただ、恋愛というのは残酷で基本的に1対1の関係をさす。そして、1対1になりたい欲望のことをさす。つまり恋愛と擬似家族を共存させるのはかなり困難なのだ。そこを乗り越えるためには擬似家族ではなく本当の家族になるしかない。


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