テレビ日記

「おっさんずラブ-in the sky-」4話、愛する作品がどこまでも落ちていく「悲劇」を見ているよう。

みなさんこんにちは。
毎週新鮮な気持ちで、怒り悲しみ失望できるのが自分でも驚きです。

だって毎週とんでもないことをしでかしてくれるから…!!!

回を追うごとに増していく不快感、不信感の大きさを思うと、8話まで見届けた後にはそれがどこまで膨れ上がるのか。不安でなりません。
今週は特にアウティングが不快で許せなかった。。。

そんな最悪だった4話の感想、ひとつずつ整理していきます。
よろしければ読んでってくださいませ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

---1~3話の感想はこちらから---

■4話の最悪ポイント、全7つ

①まずタイトル「嫌いになれない私たち」がもうダメ。
2話の「空港の中心で愛を叫ぶ」も、ダサいな~他人のふんどしで…と思いましたが、セカチューはかなり有名な作品ですし、古典表現ともとれました。しかし「獣になれない私たち」は圭くん出演作ですし、かなり最近の他局作品。マジでダサい。他人のふんどしを穿くな。
このタイトルが「イケてるオマージュ」だという感覚が怖すぎませんか…。けもなれはITSと違って、働く若者の物凄く繊細な「心の機微」を描いていた良作でしたよ。カメラワークもよかった。お付き合いしてない男女が身を寄せ合うのを引きで映すシーンなんて、繊細ですごくよかった。働くこと、恋をすること、不自由でうまくいかない自身の感情。優しさも寂しさも狡さも、どれも丁寧に描いていて共感できた。ITSは、同じステージにも立ててない。かっこいい圭くんはいないけど、見てない方はよかったら見てね。おすすめです。

<4話あらすじ>
4th flight 嫌いになれない私たち
降りそそぐ雨の中、春田創一(田中圭)が副操縦士・成瀬竜(千葉雄大)を抱きしめている現場を目撃し、立ち尽くす整備士・四宮要(戸次重幸)。
四宮は心配して様子を見に来た広報部の橘緋夏(佐津川愛美)に「俺は、春田が好きなんだ」と、これまで秘めてきた思いを打ち明けてしまう。

一方、春田のことを好きだと言う娘・緋夏のために、断腸の思いで恋愛戦線から離脱する決意をした機長・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)。
必死に春田を嫌いになろうとするが…うぅぅぅ…無理ぃ……。
数日後、父親の葬式を終えた成瀬が出社。
いつになく素直に、家族の話をぽつぽつと話しだす成瀬を、春田は四宮の誕生日会に誘う。

翌日、改めて行われることになった四宮の誕生日パーティーには、胸にフクザツな思いを秘めたおっさんたちが大集結…!?
無防備かつ無邪気すぎる春田に我慢の限界を迎えた黒澤は、突如「ここらで決着つけようか!」と、卓球大会の開催を宣言する。
スマッシュに乗せて、次々に繰り出される男たちの本音――。
果たして、愛と憎しみの卓球対決の行方は…?<引用>

来週5話の「俺じゃダメか」も「あすなろ白書」の名セリフだそうで…名セリフ縛り大喜利でもやっているのか。

②黒澤武蔵の言葉、全部軽いor不快
ヒナも春田が好きだとわかって言い合うシーン、CGチビ武蔵など自問自答するシーン、軽すぎる。
「コメディ」だと言えば全部許されると思ってますよね。
「娘と同じ人を好きになってしまった!どうすればいいですか~?!」じゃねんだよ。本当に娘を大事に思っているのでしょうか。実の娘に「好きなのか?!好きなんだな?!」と連呼して問い詰める父、娘目線で見て、嫌すぎる。少なくとも、この黒澤武蔵はみなに尊敬されるグレートキャプテンなんですよね。私生活はクズとか、そういう意図もなく、このような言動をしているということになりますよね。
「コメディ」は何でもアリだと勘違いしていると解釈せざるを得ません。

③唐突な成瀬のデレが不自然
3話ラスト、雨の中で待ってましたと言わんばかりのずぶ濡れ成瀬。
駆け寄るずぶ濡れ春田に、父の話を知っている前提で「今さっき…亡くなりました」と言う。ずぶ濡れ春田、抱きしめる。
これを経て、急に「ありがとうございました(上目遣い)」とか「グラタンいります?3000円。俺がチンしてあげるから^^」とか、ちょっと素直には受け取れなかったです。
セリフとしては悪くないです。でもそこに至るまで、成瀬の好感度が一切上がってないので「はあ?????」となってしまうんですよ。そのシナリオが抜け落ちている。
1話のハラスメントキスと「1回キスしたくらいで」からの流れを考えると、成瀬ってシンプルに嫌なやつじゃないですか。乱暴で、自分のことしか見えてなくて、構ってちゃんで、自分が一番かわいい。そして実際に顔もかわいい。
そんな不安定で軸のハッキリしないキャラクターが、突然心を開いたみたいな顔しても、こっちが開けない。
だって怖いもん。いつまた乱暴なこと言い出すかわからない人間のこと、私は一視聴者として全く好きになれない。飛びぬけて嫌なやつとして描かれてもいないから、「悪役として輝いている」みたいなマイナスがプラスになるパターンもない。中途半端に嫌なよくわからんやつ。そういう不安定さが魅力になるようなシナリオをここまでで入れられなかった以上、成瀬のいいところは「千葉雄大の顔がついてる」しか本当にない。最後に「春田さん~~~!」などと大きな声を出したのも怖かった。何を考えているのか。

④目玉の卓球シーンはパワハラ・アウティング祭り
みんなが鍋を振舞ってくれている中、シノさんのお誕生日会の中、黒澤武蔵はこの上なく自分勝手な動機で「黒澤杯」とやらを開催する。いや鍋食べたいやろ。食べなさいよ。これだけでメチャクチャなハラスメント。
そしてシノさんや成瀬にアウティングを迫るわけです。なんなんですか、この世界は初めから全員がバイセクシャルなんですか。しかも成瀬が勝手に「シノさんは春田が好き」だと言ってしまうし、「コメディで~~~~す!!!」と言わんばかりの、大げさな音楽と大げさな芝居とCGで本当メチャクチャのシーンでした。このシーンをまっさらな気持ちで笑って見られる人は、危機感を持つべきだと思います。
部下のこと利用して、引っ掻き回して、それぞれのセクシュアリティに踏み込んで、自分が「好きだ」と言いたいために、二人は春田のことが好きなのか「知りたいから」とメチャクチャやる黒澤武蔵なんて見たくなかった。迷惑なんていうレベルの問題ではありません。
こういう「横暴な上司」と「嫌だと言えない部下」という図が、古い体質の大企業を連想させてしまって辛い。テレビ朝日や脚本家の業界もそうなのでしょうか。悲しくて辛くて不快でたまらないシーンでした。

⑤成瀬とシノさんの仮眠を見て、シュンとする春田に感情移入できない
成瀬を好きになる理由、過程が全く描かれていないから素直に「なんで?(笑)」と言っちゃうほど感情移入できない。推し・田中圭の、春田創一の切ない表情が全然沁み込んでこない。実際の恋愛では「なんだかわからないけど好きになっちゃった!!」ということもあるでしょうが、これはドラマなので。視聴者もそのキャラクターを好きになれるような魅力を描いてくれないとついていけない。ただやりたいシーンのツギハギでここまで来て、「さて恋愛はじめますよ」「切ない顔です」というのはちょっと考えが甘いとしか言えません。もっと言うと、そもそもITSの春田創一には魅力がないんです。だから「頑張れ」も涙も笑顔も湧きあがらないんです。
牧が春田を好きになるにも、春田が牧を好きになるにも、ちゃんとどんなところを素敵だと感じて夢中になったのかが天空不動産では描かれていました。だから私たちは天空不動産を自然と愛したし、愛さずにはいられなかったのです。二人に幸せになってほしかったのは、二人のことが大大大好きだったからですよね?

⑥「早く行けよ」で牧を思い出させる仕打ち
残酷な脚本。これは本当に酷い仕打ち。
大事な大事なセリフをこんな風に使われて、怒りしかないです。
リアタイしててまあまあデカい声でテレビに「はあ?!いまなんて!!!」って言っちゃったくらいビックリしました。
お願いだから、牧を思い出させないで。それともこれは、私たち批判派という「不都合な存在」に対する仕返しなのでしょうか。そんな風に思ってしまうほど、このオマージュには傷つきました。
大好きな作品の行く末を見届けるため「別作品」を見ているはずだったのに、ここで牧を思い出させるなんて。本当に酷い。みんな怒っていいよ。


■どんどん落ちていく「おっさんずラブ」

武蔵の「コックピットよりお伝えします」や春田の「ご搭乗のみなさま…」のようなセリフへの「飛行機乗ってから言え」というような小さな不満から、ハラスメントやLGBTQといった非常にセンシティブな事柄に対する不誠実さまで、つっこみどころや不快な点は本当に尽きません。

思えば、天空不動産でも脚本の中だけでは春田はただの嫌な男でした。
それを愛される男へと育てたのは、当時の遣都と圭くんに他なりません。単発時の圭くんの発言を見ると、LGBTQの存在なんて考えてもいない様子でした。そこに投入された林遣都。遣都はどこまでも誠実に、当事者の方々への配慮を忘れず、嘘のないよう愛すために学び、研究し、寄り添い、演じてくれました。その真っ直ぐなお芝居を圭くんは受け止めました。だから春田も牧も愛される存在となったし、「優しい世界」が出来上がったんだと思います。
ITSにはそういう存在がいなかった。遣都によって、「優しくない世界」はなくなったかと思いきや、そうではなかった。圭くんの根っこは変わってなかったのかもしれない。本当に悲しいけれど、そう思えてしまいます。
そこにしっかり向き合ってくれた人は、引き継がれなかった天空不動産のキャストにしかいなかったんだろうなと思ってしまいます。鋼太郎さんも圭くんも、他の制作陣もみんな、そこを大事に思ってなどいなかったのかもしれません。本当に悲しいことですが。

ITSはそれぞれの矢印が一方通行だからか、圭くんの「受け止めるお芝居」も光らないし、アドリブがどうだとか余計なことに囚われているうちに、LGBTQの取り扱いもぞんざいになって、話もメチャメチャです。

特に今週はアウティングがありました。
天空不動産でもそこは一部で問題視されていたそうですが、ITSのそれは明らかに不適切だと思いました。当事者でない者が他者のセクシュアリティについて暴露しようとすることが一体どういうことなのか、そんなこともわからない人が脚本を書いているのがヤバすぎる。
苦しそうなシノさんとヒートアップしている武蔵の温度差が痛々しかったです。しかもそれを嫌だと言えない空気感があったし、天空不動産のようなLGBTQの許容された「優しい世界」にも見えない。
現実の生きづらさ、不快感がしっかりと残っている上で「全力のコメディ」にしようとしていることが問題なのです。それはおっさんずラブのもたらした「優しい世界」とは真反対の「ただの生きづらい現実」ではありませんか。笑われて、冷やかされて、肩身の狭い、変わっていくべき古い価値観そのものではありませんか。
そういうことがなくなっていって、みんなが笑顔で生きていけるような街を作ってくれたのが天空不動産 東京第二営業所のみんなだったのではありませんか。

あの優しい世界はどこにいってしまったのでしょうか。最初からそんなものはなかったのかもしれません。
世界を変えるかもしれなかった「おっさんずラブ」が、毎週着実に蝕まれていくのが悲しくてなりません。

■「田中圭モバイル」という呪縛

今週は放送直前に「おもしろいから見て」という旨の座長のお言葉もあり、勇気を出して見たよという方も多いと聞きました。そうだよね、だって推しがそういうんじゃね、見るよね。
そして、いざ見てみると全然面白くないし辛いし、予告で「春田からの」キスシーンまで見せられましたね。酷いよね。

そしてまたまた異例、放送後に「4話面白かったね」「眞島さんも一緒に見ました」「るとーちゃんはすごい(連発)」なんていう投稿。
私たち批判派が引っかかっている部分を全肯定するような文章な上に、天空不動産メンバーをも人質にとられて。私たちは一体どうすればいいんだ。
これぞおっさんずラブなんて、口が裂けても言わないでほしかった。

いままで「一度は断った」という言葉、オフショで見せる表情だけを握りしめてここまで来たけれど、こういうことを言われてしまうと、圭くんを大好きだという気持ちさえ揺らいでしまう。好きでいたいよ。

長いキャリアの中、突然の大ヒットで持ち上げられて、突然叩き落されるのは本当に辛いと思う。でも、大事なものを見失わないでほしい。権力に負けないでほしい。

あなたがブレずにいてくれたなら、私たちもブレずにいられると思うんです。

制作陣・キャストの中で唯一、自分の言葉で発信することを大事に思ってくれているのかな、というところがせめてもの救いです。

圭くん、4話は面白くなかったし、瑠東さんもすごくないよ。

■ITSを手放しで笑って見ているあなたへ

危機感を持ってください。
ここの感じ方を「人それぞれ」だと言うことを、私はしたくありません。
これを個性だといって、黒澤武蔵の言動を「コメディ」という風に捉えて、ハラスメントの側面を感じ取れないことは危険です。

私が「細かいことを気にしている」のではなく、あなたが「繊細で重要なことを感じ取れない」のです。感じ取り理解した上で取捨選択するのと、感じ取れないのではわけが違います。これは個性ではありません。

もちろん、過去に笑ったことがあると全部だめということはありません。気づいた瞬間から立ち止まって、学んで、考えて、善処して変わっていってくれればよいのです。知らないことはどうしようもありませんから。
いまこれを読んで、変わっていってくださることを望みます。

当初のように「楽しむ人、楽しめない人、それぞれでいいよね」なんて言えない領域まで来ています。その事実にどうか、ひとりでも多くの方が気づいてくださることを願います。

ITSは、LGBTQにもBLにもコメディにも失礼な、問題作というほかありません。






ずっとお金がないのでお金をもらえると嬉しいです!! よろしくお願いします!