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推しが人生から消えた日

2024年3月1日。推しが私の人生から忽然と姿を消した。
推しとは、BEYOOOOONDSの一岡伶奈さん。私が人生で初めて入れ込んだアイドルであり、世界で一番かわいいと思っている女性だ。

3月1日、私は同じくBEYOOOOONDSの里吉うたのさんがあげていたサンリオピューロランドの投稿を見て、弾丸で一人ピューロランドを楽しんでいた。
好きなゲームのおもちマスコットや、一岡伶奈さんのアクリルキーホルダーを持ち込み、ピューロランドを満喫していた。
閑話休題。
18時か19時くらいに帰ってきて、疲れてこたつで寝て起きたら22時だった。こりゃ大変と思って慌てて風呂に入る。
そして風呂をあがって携帯を見た時に、目に飛び込んできたのは、LINEの通知だった。
「一岡伶奈、卒業するんだってね」
息を呑んだ。
心臓が一瞬止まった気がした。
妹からの連絡だった。はやる気持ちで、Twitterを開く。目に飛び込んだのはネットニュース。彼女の卒業を報せていた。
ドキドキしてタイムライン上を目が滑る。寝ている間の発表だったから、なかなか事務所からの発表に辿り着かない。でも、タイムラインのフォロワーたちが嘆いている。信じられなかった。でも心のどこかで嫌な予感が当たってしまった時の、納得し難い納得感があった。
一岡伶奈さんは、ずっと体調を崩してお休みしていた。それを私は、私たちはずっと待っていた。そうでなくとも、ハロプロ内でも年長の彼女を応援する時、時の経過は、ファンを「卒業」という脅威に晒していた。それをファン達はタブーのように扱って、見えないふりをし続けてきたのだ。
いつか。もしかしたらそう遠くない未来で、一岡さんが卒業のセレモニードレスを着て微笑んでるのかもしれない。ずっとそう思い続けていた。
でも、今かー。
かなり辛い。
体調不良のため卒業いたします。もう明日からはいませんよ。だなんて。
卒業式すらもないなんて。
なんてままならないものだろう。これで彼女は、私のこれからの人生から忽然と姿を消してしまった。
一岡伶奈が、私の人生から消えるなんて思いもせずに、昼間は彼女のアクリル板と写真を撮っていたのだ。サンリオピューロランドはそれはもう楽しかったよ。この落差はなんだ。この絶望からたすけてほしかった。

思えば、彼女と出会ったのは、コロナ禍の頃だった。
コロナで暇になって、普段見ないようなYouTubeも見るようになって、おすすめに「眼鏡の男の子」が出てきて。
確かコメント欄に「都営大江戸線の六本木駅で抱きしめて」に言及している者があって。どんなものか調べてみたら、めちゃくちゃにかわいい曲で。それからは毎日のようにBEYOOOOONDSの曲を聴いていた。
そしたらだんだん心のスポットライトが当たるように、私の目の焦点は一岡伶奈さんにあっていった。どんどん私はBEYOOOOONDSにハマっていったし、ハロプロにハマっていった。
初めて現場に行ったのは、2021年10月28日。
ライブイベントではなく、一岡伶奈さんのファースト写真集「CHILL#RAIL」の秋葉原の書泉で行われたお話し会イベントだった。
ライブでなく?ビニール越しの距離にいきなり?
しかも前日に突如参戦を決めたのだった。確か当日がオンラインの学祭だったためにできた所業である。
初めて会う推しに何分も前からドキドキして、ドキドキして時間潰しのカラオケで眠くなったりして、至近距離に現れた推しは本当に可愛くて、私は緊張のため用意していた伝えることリストは全て頭から飛んだ。
「アっ、あのぉアイドルでぇ、好きになったのいっちゃんが初めてでぇ」←陰すぎる上にほとんど泣いている
「えっそうなの〜✨!」←女神。かわいい。キモヲタの相手させて申し訳ない
もう私は、彼女の下瞼がグリッターでキラキラしていたことしか覚えていない。
エスカレーターを降りながら涙目になり、真っ直ぐ帰るつもりが1分にも満たないあのやり取りを咀嚼したくなり、初めて一人で居酒屋に入った。
そこで推しに会った後のステータス異常により、レモンサワー一杯でぐでんぐでんのうつらうつらになり、帰れずカプセルで一泊したのは良い思い出だ。多分。
これ以降、接触イベというものにビビりまくってしまって一岡さんのチェキ会についぞ行けなかったのは後悔が残る。
そう、後悔だらけなのだ。
ハロプロにハマってそれなりに経っているが、いつもお金がなかったり巡り合わせが悪くて一岡伶奈さんを満足に追うことができていなかった。
ライブも行けなければ個別にも行けず。ただ家で液晶に向かってかわいいねと叫んでるのみ。
それで満足だった。毎年来年こそはと思って、来年があると思って、思っているうちに彼女は卒業してしまった。泡になった人魚姫のような儚さで。
ただ今はこの後悔とやるせなさを抱えて、彼女の健康を祈るのみだ。
彼女の大きな器と、一本スッと通った芯であったりが全て愛おしい。
自分が彼女のファンアートに添えた言葉を見るに、私は一岡伶奈さんを女神のように感じていたことがわかる。
内面の美しさが、清らかなビジュアルに滲んでいる。その輝きが大好きで、あらゆる意味で憧れの女性なのだ。
彼女の卒業に際しての、メンバーのブログを読んだ。
推しは、一岡伶奈は、周囲の人間を愛し愛されていたことが痛いほど伝わる文章達だった。
そんな彼女が眩しく、切なかった。こんな素晴らしい女性が、なぜ叶えた夢を手放さなければならなかったのか。
私は一岡伶奈のような女性になりたかった。
周囲を愛し愛されて、自分の好きに夢に真摯な人間になりたかった。
人生の北極星を見失った気持ちである。私の一等星だったのだ。
私の人生をあげるから、彼女の体調がすっかりよくなって何事もなかったようにBEYOOOOONDSに戻ってきてほしい。
しかし、卒業とは不可逆だ。叶わない願いだ。
願うなら、一岡伶奈の健康を。そして幸せを。あなたに幸せの花束が降り注ぎますように。

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