登場モノ

烏丸：カラスの妖精、夏目家の執事

スラスラ：ミツバチの妖精、夏目家の同居人、自称記者

ここは地下茎マンションの一室。常に台所は臭っているが

今日はいつにも増して変な臭い。

クリクリ記者は鼻歌交じりにニンニクすりおろしを足裏

に塗布塗布している。そしてもう片方の足は酢水の入った洗面器に

漬けている。

そこに買い物から帰ってきた烏丸。台所のいつにない臭いに

騒ぎ出す。

クリクリ君、君、何しているの？なんか、もう、変な臭い。

クリクリ記者は驚き、慌てふためき、洗面器の水をぶちまける。

何でもありませんよ。知りませんよ。気のせいですよ。

もうすでに負け犬の気配を漂わせ、両手を胸前でクロス。

いつもの自己防衛反応。

酢水は烏丸の足を濡らす。

ウワッ、何だこれ、これは酢の臭いと、擦っているのはニンニク？

それを足裏？じゃ、君、水虫～。このビチョビチョ、菌入りの水が

私の足まで～。

と言うよりも先にポカリ。クリクリ記者の頭をグーで、ボコり。

痛いじゃないですか、大体これは台所が汚いからで、それと言うのも

烏丸さんが掃除を…

そこまで言いかけて顔を上げると烏丸が両手を広げて顔を突き出し、

威嚇のポーズ。くちばしのように硬い唇を突き出して目は三角。

ハッ～、そんな事をおしゃるならば、気にしている方がおやりになれば

済む話じゃないんですか～！！

君は居候、パラサイト、水虫そのものだよ！！

と、冷たく言い放つ。

クリクリ記者はその場に泣き伏せて、

ごめんなさい！！

昔付き合っていたヒラヒラしている子にうつされたんです。

切ない痒みは憎いような嬉しいような

そんな気がして、

僕はずっと止まった時の中に囚われているんです。

エ～ン、エ～ン。

烏丸はクリクリ記者を軽く足蹴にして、

君ねえ、君は女になんか、絶対に興味持たれないから～

嘘だから～

しかもその嘘、

ビートルズじゃなくって、ズートルビーの

水虫の歌！！

ホレこれ、酢水では１万回洗わないと治らないそうだから、

薬塗って。

あと、ニンニクは肌を荒らすってよ。

しょ～がないねぇ、と笑った。