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ゆっくり休んで

平昌オリンピックが盛り上がって、連日日本のメダル獲得の歓喜がテレビで流れてきてけっこう興奮しています。

フィギュアスケートも金メダル銀メダルを日本が獲得して、ほんとうに嬉しくて誇らしい気持ちにさせてくれた。

今回のフィギュアスケート男子決勝のフリー演技は時間的にちょうどリアルタイムで見ることができたが、身体が震えた。
鳥肌が立ちすぎて寒いくらいだった。(実際に部屋もキンキンに冷えていた)

羽生くんはどこか神がかっていて、違う世界から来た精霊のような立ち振る舞いと演技で、見ていて自然と目が潤む。
滑り終えた後の歓喜の表情も、あまりにもキラキラしすぎていて、すべてが彼の為にある時間だった。

彼の姿を見ている限り、きっと霊性のようなものを持つ人なんだろうと思う。
自分の身体からの声がしっかり聞ける人なんだろう。


翌日には、疲れも癒えていない早朝から色んな特番に出演してインタビューを受けていた。
あるインタビュアーがこんな質問をした。

「私たちは、4年後の北京でもメダルを期待していいのでしょうか?」

羽生くんは少し困った表情を浮かべながらも、
笑顔で「全く考えていません。」と答えた。



この種の質問は、オリンピックで活躍した選手に毎回ぶつける質問だけど、
こんなに無神経な質問はもうしないであげよう。

怪我で苦しい時期がありながら、けっして心を折らさずそれを乗り越えて、
やっとの想いでこの大舞台でまた金メダルを取ることができた人間に、そのプレッシャーから解放される時間もないまま、すぐさま次へ向けた質問をどうしてぶつけるのか分からない。

4年間という時間を、その3〜4分の為にすべてを捧げて努力を続けることがどれほど苦しいのか分からないのだろうか。
僕にももちろん分からないけど、きっと凡人では想像もつかないほどの苦しい努力をしてきたんだろうということくらいは想像できる。

きっと、羽生くんもやっと安堵を感じられる時が来ただろうし、
今はとにかく今回怪我を乗り越えてそれに打ち勝てた自分を褒めて労ってやりたいだろうと思う。勝手に想像すると。
やっと重圧から解放されて楽になれたその瞬間から、また4年後へ向けた気持ちを聞くなんてずいぶん酷じゃないだろうか。


こんな場面は他の選手でも見るが、今までもほとんどの選手が同じような答えを返していたように思う。

そんなの当たり前じゃないか。
4年間。国を背負って勝負するというプレッシャーに耐え続けて、
やっとの想いでその成果を勝ち取ったものが、終わってすぐ次へ気持ちが向けられるわけがない。とりあえずは皆その感動を噛み締めたいだろうし、きっと少し休みたいはずだ。

とりあえず次の日くらいは、
「お疲れ様でした。ゆっくり休んでください。」
それだけで十分じゃないだろうか。



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