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SaucyDogのライブで隣の席の男性がめちゃくちゃに泣いていた話。

先日SaucyDogのライブに行った。
私はサウシーの歌詞の情景描写がとても好きだ。

バラード曲のイントロが鳴ったとき、私は自分がMVの監督になった気持ちで脳内で映像を作った。

『坂道を登った先の暗がり 星が綺麗に見えるってさ 地べたに寝転んじゃうあたり あぁ君らしいなって思ったり』

この曲の情景描写は田舎感があって特に好きだ。
煌びやかなネオンは愚か、街灯すらない田舎の道では星がとても近く、はっきりと見える。  

この曲を聞くと、秋と冬の間の空気がツンと張り詰めた感じを思い出す。吸い込むとひんやりとしてもの淋しい。

サウシーのボーカル石原慎也さんは島根県出身である。
生粋のカントリーボーイとして育ったからこそ、書ける情景があるように思える。

ライブの間、ボーカルの石原さんを見ながら、脳内のMVでは制服を着た男女が寄り添って歩く帰り道が再生されていると、物凄いスピードでおいおいと泣き崩れる男性がその道を横切った。

ふと隣を見ると、若い男性が泣いていた。
めちゃくちゃに。

呼吸ができているか結構心配した。それぐらい泣いていた。

きっと歌詞と重なるバックグラウンドが彼にはあったのだろう。

大泣きしている成人男性のせいで曲が入ってこないどころか、むしろ泣いてくれているおかげで、曲がいつもの10倍は沁みた。 

私の脳内のMVの主人公は途端に彼になった。

『僕の見た景色を全部 君にも見せてやりたかったんだ あたたかいココアをひとくち』

彼がバンホーテンのココア缶を飲んでいる。

『いつかまた逢う日までと 笑う顔に嘘は見当たらない じゃあね またどこか遠くで 』

彼は彼女に手を振っている。
笑っているつもりだが、目からは涙が溢れ出して止まらない。

『いつか…』

彼は最後に今までで一番泣いた。

その隣で全く関係のない私も一番泣いた。

























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