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記憶よ語れ

メシアン:トゥーランガリア交響曲
イヴォンヌ・ロリオ(ピアノ)
ジャンヌ・ロリオ(オンド・マルトノ)
モーリス・ルルー指揮、フランス国立放送管弦楽団
録音:1961年

メシアンの和声はかなり独特で、光が当たる角度によって色彩やテクスチュアが変化していく映像の様なものを思い浮かばせる。例えば、オスカー・フィッシンガーの様なイメージが近いだろうか。私の最初の記憶は、暗闇の中で強い光を受けながら、その背後に青や赤の光が別途点滅しているのを見たことなのだが(土曜ワイド劇場のOPと記憶を混同しているのだろうか?)、あれにも近い印象がある。オンド・マルトノはまるで古い時代のエレクトロニクス・ミュージックのようで、それもそのような感覚を増長させているのかも知れない。いずれにせよ、人々の記憶などとても曖昧なもので、みんなは記憶を自分の都合の良い様に好き勝手に捏造してしまうものだからこの世界は歪んでいくのだし、だから、記憶を語ること自体、何の価値もないのだけれど。
録音に関して言えば、スピーカーを真綿で包んだような何だかモコモコしたサウンドで、これは元々の録音のせいなのか、モーリス・ルルー指揮、フランス国立放送管弦楽団オーケストラ(一般的にドイツ系と比べるとフランス系のオケはメルドーだと言われている)のせいなのか、我が家のオーディオシステム(デザイン性だけで選んだ非力な真空管・デジタルのハイブリッドアンプと、JBLの中でも低所得者層をターゲットとしたグレードが低いメイド・イン・ファッキンチャイナのスピーカー)のいずれかに問題があるのかもしれない。どのみちApple MusicからBluetoothで飛ばして聴いてるんだ。音質なんて誰が気にする?

音楽と音楽の記憶とそのメモ。