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オーストラリア野宿生活(2)

西海岸の一番上の街 ブルームにたどり着いた私は
ふと 思ったのだ。

バスに乗ってひたすら寝てれば 目的地に到着し、
宿に泊まって ベッドで平和に朝を迎え
(バックパッカーズと言われる安い相部屋の宿が
オーストラリアの各地に充実している)
だいたいの観光客が訪れるような「見どころ」に立ち寄り
ただ流れていくだけの 旅。
それが自分には 
ありきたりの旅
に思えてきたのだ。
こんな旅を自分は求めて 頑張ってここまで来たのか?
そういった疑問が 頭を支配し始めた。

西海岸に到着した私は
もう 長距離バスの旅を 降りることに決意するのだ。

旅人の中には 自家用車を手に入れ
好きなところに 気の向くままに出かける人も多くいた。
その中には
同じ方向に向かって(時計回りか、反時計回り)
車の乗車人数に余りがあれば
「シェア募集!一緒に乗ってください!」
なんて宿の掲示板に 張り紙があったり
直接 会話の中に出てくることがあった。
車の持ち主も 誰かを乗せることで
ガソリン代がシェアすることができるので
一人で乗るよりも うんと 経済的なのだ。

私はたまたま ブルームで 同乗者を降ろして
空きができた 日本人の車を見つけて 西海岸南下の旅を 
彼らと一緒に過ごすことにした。

そこからの旅は まさに自分が求めていたような
素敵な旅だった。
気の向くままに 風の匂いを嗅ぎながら
大地にテントを張って寝て
野外のテーブルで 料理を作って食べた。

オーストラリアにはキャンプ場も充実しているので どこに行ってもテントを張る場所には
困ることがなかった。 シャワーや水道を使うことができた。

宿に泊まるよりも キャンプ場でテントを張るほうが 断然安い!
宿代の節約にもなる。

西海岸の自然の美しさは たぶん 今までと同じように バスに乗って
ある町から町への 点での移動しかしていなかったら
ほとんど 目にして 感じることができなかったであろう。
どこのビーチに行っても
手つかずの美しい 海岸が広がっており
さらに ほとんど人がいない まるで 自分たちだけのビーチの様だった。

こんな美しい海岸を 占領しちゃっていいのだろうか?と思うほど 人がいない。
西海岸のビーチはどこに行っても格別美しい。
白い貝殻で埋め尽くされた美しいビーチ

西海岸は 人口も少なく
ただひたすらまっすぐな道を走っていても
ほとんどすれ違う車もないほど。
大自然の中を 行きたいところに行って
寝たいところで寝て。
夜は満天の星空の下 持ち運んでいたコンロで 料理を作り食べる。
そんな生活を繰り返しながら 旅を続けていた。

バスでは決して立ち寄ることのできない大自然をめぐる旅
あちこちの国立公園を巡る旅


車でしか立ち寄ることのできない洞窟には
太古の落書き アボリジニたちの壁画が 普通に残されていたりするのに驚く。

西海岸を南まで下り
さらに旅は ベクトルは 右方向に向けて走り出す。
オーストラリアの南のへりを走る旅だ。

この平原は乾いた大地が広がり ここを超えるのには4日ほどかかる。
(平原の道程1200kmの間に町はない。小さな補給用のガソリンスタンドがポツポツと存在する)
その間、水やガソリン、食料の補給ができない地域もあるので
万全の準備を積んで 走ることになる。
世界最長の直線道路(曲がることなくひたすらまっすぐな道)は147㎞に及ぶ。地平線まで まっすぐな道が伸びているのだ。

すれ違う車もほとんどみかけない。
直線道路の道路標識は オーストラリアの象徴的な動物が!

なんと言ってもこの平原の見どころは
オーストラリア大陸の 南側のへりに続く 壮大な断崖絶壁だ。

大陸の南のへりに腰掛ける
絶景! 大陸に腰掛ける! 砂漠気候で暑く 水着で行動していた。

これらの絶景も バスで移動していたとしたら ただひたすら
まっすぐな道のりを うとうと寝て過ごし 
東海岸に抜けていただろうと思うと
自由に行動できる車での旅を選んでいて 本当によかったと思えるのだ。

ワゴンにテントと料理できる設備を詰め込み ひたすら走る旅

自然の厳しさと美しさをまざまざと感じた ナラボー平原を超え
アデレードに到着する。
そこで私は この長い旅路の仲間に さよならを告げることにした。
(つづく)
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