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勝者の混迷

 2007年、新潟時代の日記を続けます。
 
 塩野七生さんの、「ローマ人の物語」の第何巻だったに、「勝者の混迷」と言うのがある。平家物語では、盛者必衰、驕れる者久しからず、とある。現在日本の勝者、盛者は、T社だ。売上、利益ともダントツで、まさに、日本の経済を引っ張っている。規模、財務体質、製品の先進性と品質、技術開発力、どれをとっても、隙がない・・・ように見える。
 
 私は、当社が、自動車部品を開発製造しているのと、個人的に塑性加工学会の関係もあり、T社の人たちと多少の付き合いがあるのだが、流石に、皆それなりに見識があり、技術的にもなかなかの人が多い。しかしながら、大会社では、どこでもあるのだが、部門間の壁が厚くなってきたように思える。
 
 2,3ヶ月前、学会の講演で、T社の某幹部が、自社組織の柔軟性を説明していたが、そもそも、そんなことを説明するとこと自体が、自ら組織の壁を意識しているのかもしれない。更に、(この方が重要だが)最近、中堅幹部クラスの人に、他社の人、特に(当社も含む)部品納入会社の人に対する驕りを感じることがある。
 
 過去、30年、40年をふりかえると、大会社といえども、決して安泰ということはなく、苦境におちいったり、資本が変わったり、いろいろ紆余曲折があったりで、合従連合も多い。結果として、名前の変わっていない会社の方が少ないくらいだ。T社だけが例外とは思えないのだが、どうであろうか。
 
 
追:この日記から既に16年、T社は現在も健在。
  しかし、今、世界はEV時代に突入している。
  危機感をもって頑張って欲しい!

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