見出し画像

株主総会2

 2011年6月の日記です。
 
 上場企業の例に漏れず、当社も今月末に株主総会がある。
会社にとって年に一度の一大行事であり、
今回で3回目の議長となるが、
壇上で衆人にさらされて立ちっぱなしの2時間は
意外と厳しく心身ともに疲れる。
同じ2時間ならゴルフのハーフの方が余程楽だ。
 
 当社は独立企業だが、某鉄鋼大手が株式の29%を保有して、
代々のトップを派遣し、経営の実権を掌握している。
ところが、2代前のトップが大失敗して、業績は最悪、
一時は上場維持も怪しかったこともあり、株価は低迷。
プロパーのOB株主達は、諸悪の根源は、
鉄鋼会社から派遣された経営陣だとして、
当時の株主総会は大紛糾、4時間を要した。
(勿論、彼等の認識は正しい。)
その年の東日本製造業の株主総会では最長時間だったとか。
 
 以降、プロパーのOB株主は、総会前に相談して作戦を練り、
数人で質問を分担して、2時間半以上は引きずって、
会社の姿勢を正すのだ、と張り切っている。
この3年で業績は急激に回復したが、彼等にとって株主総会は
最早、年に一度の楽しみ、レクリエーションの様相だ。
 
 総会では、議長(私)が用意された紙を読み上げ、
質疑応答時の要所では総務と弁護士が相談して、メモを差し入れてくれる。
想定質問と回答は有り余るほど用意しているが、相手もさるもので、
裏をかいた想定外質問もある。
 
 質問を受けると、その要点を丁寧に繰り返して確認し、
担当の役員に、答えてもらうのだが、
役員の人事や経営の根幹に関する質問には、自ら答える。
尻尾を捕まえられないように且つ、相手が納得した気になるように、
日頃使っていない頭をフル回転させる。
 
 中には、個人の怨念を株主総会で晴らしたいのか、
特定の役員を標的にした質問もある。
それでも、真摯に(見えるように)答える。
 
 明日は同じ会場で予行演習を行う予定。
数人の模擬株主(社員)が、わざと答えに困る質問をする。
役割だから仕方がないのだが、嫌なやつに見えてくる。
「先ほどは失礼しました。役割ですから気にしないでください」
と言う人もいるが、そういう人に限って本音の質問にみえる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?