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賄賂?

 1998年頃、地方の製鉄所に勤務していた時、賄賂(らしきもの)を渡されたことがある。
 
 菅首相の長男が役員を務める放送会社が、議員や官僚に数十万円の接待をしていたのは賄賂ではないか、と野党が騒いでいた。かつて、リクルート事件で、政治家、官僚に数億円が流れていたことに比べれば可愛いものだが、数十万円は、回り回って我々庶民が負担しているのだろうから、面白くはない。
 
 大学の理系を卒業し製鉄会社に入社して30年弱、50歳過ぎ、地方の某製鉄所に勤務していた。広大な所内では、社内外の約1万人が働き、各所で煩雑に大小の設備工事が行われていた。
 
 設備の完成時には、神式の稼働式を行う。神主が祝詞をあげ、主たる参列者が玉串奉天をする。最新設備を前に、前時代的な神頼みには違和感があるが、敢えて異を唱えるほどのことではない。某新設備の稼働式に出席した後、操業を請け負う業者から、記念品入りの紙袋を渡された。
 
 設備稼働に伴う記念品の配布は、珍しいことではない。特に気にせずに社宅に持ち帰り、紙袋の中身を確認した。箱に入った記念品(なんだったか忘れた)の下に平らな箱があり、不審に思って中を確認すると、500円券が400枚、総額20万円の商品券が納められていた。何かの折に1,2万円程度の商品券をもらうことはあるが、20万円は常識外、これは賄賂だ・・・と思った。
 
 次の日、先方の担当者に一般常識を逸脱していると告げて戻したのだが、担当者は、自分は中身を知らないので、お預かりして社長に渡します、とのこと。今から思えば、20万円はいかにも中途半端で、先方の社長にとっては、具体的に何かを頼むというより、以降、御贔屓に・・・との挨拶程度だったのだろう。
 
 製鉄所には私より上に所長、副所長がおり、更に高額の商品券を渡された・・・・かもしれない。

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