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30年ぶりに奇人と再会

 2020年4月の日記です。
 
 22歳で大学を卒業して、大手の鉄鋼会社に入社し、
40歳過ぎ、製造所の技術計画、設備計画を担当していた。
ある時、東京の本社から情報システムの責任者が来た。
私より、5,6年歳上だったと思う。
 
 何のために来たのか覚えていないから、
さしたる用はなかったのだろうが、
何故か、その日の晩、会食に誘われ、
2次会で高級(?)クラブにも連れていかれた。
本社の大部長が、私などを接待しても仕方がないのにと思い、
それだけが印象に残っている。
 
 その30年後、昨年暮れに、その人から突然電話がかかってきた。
何しろ一度しか会っていない、いきなり名前を言われ、戸惑ったが、
2次会まで行ったことを思い出しつつ、適当に話を合わせると、
自分は今、加古川の大学の教授をしている、
会って、一献交わしたいとのこと。
 
 1週間後、姫路駅で待ち合わせて居酒屋で飲んだ。
大きな腹に張り付いた赤いシャツに目立つシミがあり、
グレイの上着は一目サイズが小さすぎる。
これで大学教授か、と思わぬでもない。
見かけは奇人だが、話はスムース、80歳にしては上出来だ。
 
 会社を退職した後、公的機関を歴任し、
この10年程は三つの大学教授を歴任している。
公的機関の時代にそれなりの重要人物だったと、
写真入りの記事を渡され、累々とその後を説明してくれた。
今はこの大学の教授だが、専ら就職運動を指導し、
学生を上場企業に送り込むのが得意だとのこと。
殆どが自慢話だが、分かり易く悪い感じはしない。
 
 私が、新潟、埼玉の会社を歴任したことも、
その2社の業績が急回復したことも、噂にきいてもいる。
昨今は、姫路の会社に勤務しているとのことだし、
大学の後輩でもあるので、一度会いたかったとのこと。
この歳で、仕事をしているのは、我々2人だけと言うが、少々怪しい。
 
 その他、当時の会社の色々な人を勝手に話題にして、
本人がいないから言いたい放題だ。
こちらはもっぱら聞き役、適当に相打ちを打ち、
心地よい時間を過ごしていただいた(と思う)。
 
年が改まり、1月中旬に再度メッセージが届き、
今度は加古川で奥様も一緒に会いたいとのこと、
当時会社の独立で時間が無かったので、その時はお断りした。
 
 その後、我社では、人事系の幹部1名を派遣に出すことになり、
色々探すが、適当な派遣先がない。
で、そういえば・・・あの奇人殿に頼んでみようか、と思い、
先日、本人とともに、大学を訪問した。
簡単に見つかるわけではないが、兎も角、何とかしてみるとのこと。
勿論、その日も加古川で一献交わし、機嫌よくわかれた。
 
 30年振りのお付き合いだが、なんとなく味があり、
頼りになりそうな・・・気がする。

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