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春の珍事

 2015年3月、将棋のNHK杯中継で珍事が起こりました。
 
 春の珍事・・・だった。
毎週、日曜日の10時半からの、
NHK杯将棋トーナメントを見るのを楽しみにしている。
 
 将棋界のトッププロが全員参加し1年かけて戦うトーナメント戦、
持ち時間が20分と短く、丸一日かけて戦う本格的な期戦ではないが、
一流プロが時間に追われながらも、秘技を尽くす戦いは迫力満点だ。
すでにベスト4が決まり、先週の準決勝1回戦は
最後まで解説者にも優劣がわからず、
一流プロのギリギリの攻防にすっかり魅了された。
 
 今日は準決勝の2回戦、これで、決勝戦に進む2人が決まる。
両者ともに、慎重で序盤が長く、駒がぶつかり始めた時は、
二人とも持ち時間を使い切り、一手30秒以内で指さ続けている。
先手がやや押し気味で、後手の受けが難しい局面で、事件が起きた。
 
 後手が時間に追われて、6三と打ったが、
数手前に6七に打った歩が残っているから二歩の反則、即負けだ。
素人では偶にあるが、プロではあり得ない。
解説者(一流プロ)も、聞き手(女流プロ)も、
あっと驚き、声が出ない。
記譜読み上げの女性が直ぐに、「まで、○○8段の勝ちです。」
 
 長いプロ将棋の歴史では、二歩事件もあったらしいが、
何十年の歴史あるNHK杯では勿論初めてだ。
テレビの中継時間が15分ほど残っているから、対局者と解説者で、
感想戦をして時間を埋めなければならない。
屈託のない、陽気な彼であるが故に、余計、残酷な時間だった。
後に尾を引かなければよいが・・・
 
 
 追:この事件から8年後、今のプロ将棋は藤井君がダントツ、
   NHK杯は、次の日曜日に決勝戦、楽しみ・・・です。

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