つん

2005年生まれ。写真や文章や詩

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  • グミ食ってんのか排気ガス食ってんのかわかんない。

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小枝散りゆく、つゆ知らず。

既視感。  昔、私はこの近くに住んでいたことがあった気がする。なんとなく河の感じや道に見覚えがある。朧げなのは10年も前の記憶だからで、小学校に上がる前だった。まだ母と暮らしていたときだ。  この街は交通量の多い、広い大通りよりも幅の広い運河が流れている。旧来船と呼ばれている船の形とはだいぶ違う小さいビル群のような船が河を流れ荷物を運んでいる、四角い箱。昔ここには河を越えるようにモノレールと呼ばれる電車が走っていた。今はその背の高いレールだけが錆びれたまま、残っている。背の高

    • 創作。

      祈りのような気持ちで創作をしたことはまだない。吐瀉物をなるべく撒き散らさないように排水溝に吐いているみたいな、そういう創作。食べたもの、うまく消化できなかったらそのまま出てくる。わたしの胃酸と共に出ていくそれは臭い匂いを放ち、どろどろに溶けながら排水溝へ流れていく。 いつかがあるとするならば、祈るような気持ちで創作をしたい。誰かの心を洗い、刺さった棘をやさしく抜いていくようなそんな創作。

      • 旅がすきなあなたに恋して

        きみは旅をしている。人々の日常のなか、バスに乗っている。そこに溶け込むようにきみはいた。人の多い観光地を嫌い、フェリーやバスを好んだ。たくさん歩くことを嫌がらず、道中の景色を楽しんだ。人を威圧しない優しい雰囲氣を纏った君は今日もやさしい言葉を話す。どうか元気でいてね。

        • 微睡みながら

          昼ごはんを食べ眠くなっていたソファで横たわっていた。ちょうど起きていると寝ているの中間くらいでふわふわとした意識だった。突然、知らない番号から着信があった。一昨日応募した銭湯のバイトの店主からだった。簡単な会話で日時が決まった。のそのそと起き上がり、スケジュール帳にメモをする。 テキトーな気持ちで応募したので、その面接で受かっても落ちてもどうでもよいのだ。予定がひとつできたことに満足し、わたしはまた眠ることにした。

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        記事

          雨で裾がだいぶ濡れたワンピースも乾くまできみの横顔をただみていたあの日も、

          雨で裾がだいぶ濡れたワンピースも乾くまできみの横顔をただみていたあの日も、

          高炉を使う魔法使いの貴方にぐつぐつと煮込まれたい。 燃えて溶けて液体となったわたしをあなたは愛おしそうに飲み干した。

          高炉を使う魔法使いの貴方にぐつぐつと煮込まれたい。 燃えて溶けて液体となったわたしをあなたは愛おしそうに飲み干した。

          喫茶店

           彼女のことを一言で述べるなら、他人の視線に鈍感な人という印象だ。彼女の見た目について着目したとき、いちばん最初に目に付くのがストレートネックで鳩のように顔を前に突き出しているところ、首と顎との間には分厚い肉が付いている。窪んだ瞼に吊り上がった眉、カサカサしている唇、顔立ち自体は悪くないのその手入れしていない姿がなんとも言えない。普段彼女は傷んでる黒髪を乱雑に纏め、白いシャツを着ている。肩には少し頭皮の粉が落ちている。  話してみると案外優しく甘い声をしていることにまず驚く

          喫茶店

          ふと死にたくなったときの気持ちは何処へ行ってしまうの。 影のように付いてきてわたしの目の届くところにいて欲しい。

          ふと死にたくなったときの気持ちは何処へ行ってしまうの。 影のように付いてきてわたしの目の届くところにいて欲しい。

          鉱石

          やっと見つけたほんの小さな石 それを嬉しそうに話すと君はただの木霊になる。別に嬉しくないだろう。人はみんな微妙に違っている。気づいてないフリをする。それが苦しかったんだ。なのに僕はまるで同一視してる。君に寄りかかって君も倒れる前に早く君の前から消えなくちゃ。 君が来てくれたここはひどく内向きな世界で周りなんて見えないね。心地よかった。この歪な形が僕の居場所だった。  君の中に一欠片でも残したくて今も僕はこうやって必死なんだ。 君はきっと僕よりもっと君にぴったりな人とこれ

          とくべつ

          “あなたの特別”でありたいと思う。それはわたしとあなたでは何か明確なつながりなどないからわたしはそれを必死に探すんだけど、ない。  あなたの心の奥の方までやさしく触れられる。あなたと何か交換できる。そんな存在になりたいんだずっと 過去にあなたに貰った温かいものに縋っているだけかもしれない。もう真っ直ぐ見れてないかも。揺らぎやすいからあなたの一部になりたいんだろうな。

          とくべつ

          almond

          肌を掻いた。首が火で焼けて爛れたようになってから髪を短くして少し良くなったと思ったのに今度は顔の側面が赤い魚の鱗のようになってしまった。 アーモンドの花は桜に似ていて 春の象徴 遠いこの国で祖国を思い出した いつも流れている音楽を口ずさんでいた。少し遅れ気味に聞こえるその音を聴いてやっときみに会えたと思う。

          羽田

          空港に来ている。 着陸した飛行機を整備する場所を眺めながらコーヒー飲んだ。バニラアイスも食べた。見晴らしのいいカフェで梶井基次郎の檸檬を読んでいる。 海に浮かぶ船が止まって見えた。ここから見える海は意外と広いらしい。今まさに離陸しようとしている飛行機と整備をするためにセカセカと動く小さな車以外止まって見えた。 ストップウォッチで世界を止めたらこんな感じなんだろうな

          官能と微笑。

           抉られていた。何かねっとりした私の中の気持ちの悪いものが。それはきっと取り出したら臓器のような少し毒々しい色で触ったらぬめっとしているだろう。彼はそれを無視してズカズカと入りこんでくる。見ないふりなのかはたまた見えてないのかその図々しさが嫌だ。まだ私をキレイなものだと思っている。彼はピンクのものが何の気なしにピンクだと信じる、そんな人だ。  私の中の化け物が先に彼を見つけたので、腕に力をこめて彼の首を絞めようと思った。唸る。実際には私は体の緊張が解けていたので微笑みのような

          官能と微笑。

          天気がいい日のビルは水晶だった。美しいけど、頑なで雲が流れて目で追っていく。全部拾うんだ。青も白も流れていくその時を

          天気がいい日のビルは水晶だった。美しいけど、頑なで雲が流れて目で追っていく。全部拾うんだ。青も白も流れていくその時を

          風がまとわりつく。寒いけど少し春だった。 君は私に縋らないと恋もできない甘ったれだよね。そういうところが好きだよ

          風がまとわりつく。寒いけど少し春だった。 君は私に縋らないと恋もできない甘ったれだよね。そういうところが好きだよ

          あれはたぶんね昨日の話。

          過去の思い出を今の妄想で補完して それが現実と混じるのを楽しんでいる。 多分その現象をフラットには見れてなくて 本当にその景色を見ているといえないと思うけど あの子と行った鎌倉はもう虚構になった。2年後くらいに一人で行ってもいいしまた彼女と行っても楽しいと思う。 春の海と空は溶け合わなかった。 空は目の前では澄んでいるふりをしているけど遠くの方を見るともやがかかっていてどんどん白っぽくなっていく。海も水平線に近づくにしたがって少しずつ白くなる。でも奥の海は夏の空の色

          あれはたぶんね昨日の話。