お金を使うのが怖い。

こどものころから「お金がない」と母に言われて育ってきた。
おこずかいをもらえる年ごろになるとひたすら貯めた。
その貯めたおこずかいも母が小銭がないときには「貸して~」を言われ、貸し、返ってきたことがないので実質手元には残らなかった。

中学生になると、まわりの大人の手伝いをし、小銭や商品券・図書券をもらうようになっていた。
親はおこずかいを渡すのを忘れている。
高校生になるとアルバイトをしたり、人の手伝いをしたりで何とか身の回りの物をそろえていた。

父は借金の保証人と家のローンなど経済苦で自ら命を絶つ。
母は父が亡くなり、落ち着いたころに入ってきた数千万円の保険金を数年で使い切ってしまった。
(その保険金おかげで高校を卒業した後も進学できたのだが)

きょうだいは賭け事に明け暮れ、借金を作っては母が返し続けていた。
そのきょうだいが結婚するときには相手方のご両親から「親がいないんだから、あなたが金を出せ」と言われ、独身・20代前半のワタシは20万円ご祝儀を包んだ。
(よく考えたら非常識なご両親だな。)

結婚した相手は消耗品・食費・子どもの費用として3万円をワタシに渡すのみでだったので、切り詰めて生活していると思っていた。
でも親が貯めて渡してくれていた百数十万の貯金を1年もしない間に使い切り、カードローンを知らないうちに組んでいた。
金がないと言いながら賭け事に足を運ぶ。

すっかり、お金を払うことが怖くなってしまった。
ないところから作り出すのはパワーがいるし、しんどい。
節約生活が身についているので、今までにご飯を食べられなくなるほど困ることはなかったが、進学以外に自分自身のためにお金を使ったことがほぼない。
まわりの人が持って行ってしまう。
稼ぐ気力も失せてきた。

でも本当は、ワタシは自分自身にお金を使いたくてたまらない。
ヘアサロンも毎月行きたいし、ガタガタな歯も治療したい。
整体にも行きたいし、パーソナルトレーナーさんに個人トレーニングもしてもらいたい。
旅行にも行ってみたいし、今より広くて新しい家にも住みたい。
演劇やコンサートも金額を悩まずチケットを買い、見に行きたい。

はじめてだ。
こうやって「生きるためのお金」だけじゃなく、「生活に潤いを持たせるためのお金」が欲しいと思ったのは。

小さなころから我慢するのが当たり前と育ってきたので、このところの欲求の強さに驚いている。
すこしずつかなえていこうと思う。

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