見出し画像

スキー場消滅の危機③ 危機を打破する方法

引き続き、北海道新聞の<欧州気候変動 スキー場異変>シリーズ記事「冬季五輪の候補地先細り 練習環境が激変、競技の将来は「深刻」」から考えたことを記します。

ウィンタースポーツファンにとって記憶に新しいと思いますが、2022年の北京冬季五輪大会は、ほぼ100%人工雪に頼る初めての大会となりました。今後、冬季五輪大会の開催自体が危ぶまれています。

気候変動による雪不足は、世界中のスキーリゾートにとって深刻な問題となっています。特に日本のスキーリゾートは、その影響を大きく受けており、存続の危機に瀕しています。2019年12月に発表された観光庁の「海外スキー市場に関するデータ整理」によると、世界でのスキーリゾート数は米国の356に次いで、日本が279で2位に位置しています。この数字は、フランスの234、イタリアの216を上回り、日本が世界最大級のスキーリゾート国であることを示しています。

しかし、この立派なスキーリゾートが今、存続の危機に直面しています。雪不足により閉鎖されるリゾートが増えれば、そこに必要な多額のインフラ設備投資が無駄になり、その復活は極めて困難になるでしょう。北海道や長野などの冬季の外国人旅行客も激減する恐れがあります。

このような状況下で、私たちはCO2削減に寄与する旅行者の荷物削減を真剣に考える必要があります。ICAO「CARBON EMISSIONS CALCULATOR」によると、20kgの荷物重量削減は日本往復で138kg(ニューヨーク、シンガポール、台北の平均)のCO2削減に相当します。これは生活から排出されるCO2の28日分にもなり、私たち一人ひとりの行動が環境へ与える影響は非常に大きいのです。

出所: ICAO「CARBON EMISSIONS CALCULATOR」、国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ」

スキーリゾートの存続と地球環境の保全のために、私たち旅行者が取り得る具体的な対策として、荷物を軽くすることが挙げられます。軽い荷物は移動の快適さを増すだけでなく、環境への配慮を示す行動となります。

気候変動による影響は既にスキーリゾートの未来を脅かしています。また、スキーリゾートが誘致する外国人旅行者自体が移動により、気候変動に悪影響を与えているという事態を正しく把握する必要があります。せめて、旅行者の荷物を減らすことで、北海道や日本でのウィンタースポーツをこれからも楽しむための知識を得て、行動しませんか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?