見出し画像

日記 2024.5.14(火) 家族の風景。

6時ごろ目が覚める。今朝はほんとうに冷たい朝だった。ひと足先に起きたお母さんが玄米を圧力鍋で炊き始めている。小豆のいい香りの広がる台所。赤飯みたいとお父さんは小豆入りの玄米がお気に入りだ。わたしはお味噌汁の残りをあたためていく。昨日の夜お母さんがカレイの煮付けを作っておいてくれたので朝ごはんに食べる。朝からお魚の煮付けってうれしい。お母さんは毎回きっちり分量を計りながら料理をしたいタイプなのだが、カレイの煮付けのレシピは体が覚えていたらしくさっとできたと喜んでいる。そういえば昔からよくカレイの煮付けが食卓に上っていたなと思い出す。

朝ごはんの片付けをしているところに親戚のおじちゃんが採れたての筍を持ってやってきてくれた。コーヒーを淹れておじちゃんとお母さんと3人で外のばんこに座っておしゃべりする。お父さんは歯医者へ出掛けて行った。天気の良い朝の空気の中でのおしゃべりがなんだか楽しい。先日軽い脳梗塞で入院していたおじちゃんの話を聞き、元気になってすぐに退院できたことをみんなで喜び合った。いつも仲良くしてくださっている大切な存在。いつまでも元気でいてもらいたいと思う。畑の先生でもあるおじちゃんにわたしが植えたものを見てもらうが、あまりにも独自の植え方を見ておじちゃんはぽかんと口を開けて黙ってしまった。きゅうりは植えた5本のうち3本はたぶんもうだめだろうとのこと。わたしには見えない未来がおじちゃんには見えているようだ。

お昼からは暑くなりそうなのでそれまでにまだ植えていなかったゴーヤの苗を植えていく。大好きなゴーヤ、たくさんできるといいなと思いながら植える。畑にはたくさん畝を作っておいたのでまだまだ野菜を植えてみたいけれど、ずっとわたしが管理できるわけではないからお父さんとお母さんと相談しながら進めていくとしよう。でも大葉はやっぱり植えたいなぁ。

お母さんの提案で、お昼ご飯は新しくできたお蕎麦屋さんへ行ってみることになっていた。おうちで食べるご飯が大好きだけれど、時々食事作りをなまけるのもうれしい。
平日の昼間、オープンしたばかりのお蕎麦屋さんはたくさんのお客さんで、わたしたちのあとからも次々にお客さんがいらっしゃる。わたしたちはちょうど良いタイミングで入店したようですぐに席に案内してもらうことができた。ランチを3つ。しっかりとしたコシのある二八蕎麦を美味しく頂いた。畑にもう少し野菜を植えてみたいと相談し、ホームセンターへ寄って苗を選んでみる。きゅうりの苗をふたつ、バジル、さつまいも、大葉の苗を買ってもらった。お父さんは先日弟夫婦の家でみたアロマディフューザーが欲しいということでそちらも買ってみる。

家に帰り苗を植える準備だけしておく。ちょうど太陽がてっぺんにある時間なので準備だけしておいて苗は夕方植えることにする。コーヒーを飲んでお昼寝でもしようかと思ったら生協さんがいらっしゃる。今日は忙しい。商品を受け取っていたらお父さんが手作りのプレゼントの包装を試行錯誤している。リハビリで一緒になる方の100歳のお祝いプレートを作ったのだそうだ。ダンボールで包んでみたり、麻紐やゴムでとめてみたりあーだこーだ言いながら楽しそうに包装する姿は、まさにわたしのよう。一連の作業を見ながら、わたしはこの人の子どもであることに違いないのだろうなと思った。

買ってきたアロマディフューザーも開封してみる。本体のボトルは家にある瓶で代用できるだろうと考えて詰め替え用だけを買った。こういうところもお父さんとわたしは本当によく似ている。開封してみると中には香りのついたオイルが入った小瓶とスティックが入っている。詰め替え用の小瓶でも十分使えそうだということが分かり、スティックを突っ込みそのまま使うことにした。
トイレにひとつ置いてみる。しばらくしてからお母さんがトイレに入り、わぁーなんだか別な世界に来たみたいでみやびな香りがすると喜んでいる。続けてお父さんもトイレに入りわおーと声をあげる。そういえば昨年のお母さんのお誕生日プレゼントにアロマディフューザーはどうかなとお父さんから相談されたのだった。わたしはまったく興味がなくて要らないんじゃないと言ったけれど、こんなに盛り上がるならプレゼントとしても良かったのかもしれないな。

少し日が傾き始めたのできゅうりを植えておくとする。少しずつにぎやかになる畑が楽しい。
畑に出た日はすぐにお風呂に入りたい。お風呂の準備をしながら夕飯の準備を開始する。さて今日はどうしようかとひとまずお味噌汁を作りながら考える。しょうゆ味の鞍掛豆があるから一品として、チンゲンサイの間引き菜をベーコンと一緒にごま油で炒めたもの、紫玉ねぎと大根の間引き菜でスパイスマヨネーズ和えにしてみようということでまとまった。お母さんと交代でお風呂に入りながら夕飯の準備を進めていく。
今日はお風呂のお湯がたっぷりだったからお父さんには足湯を勧めてみる。リハビリでお風呂に入るからとあんまりうちではお風呂に入りたがらないお父さんに足湯の気持ち良さを伝えてみたい。湯船の隣にお母さんが買ってから9年使われずそのままになっていた足湯用バケツを引っ張り出してきて水風呂をつくる。お父さんには温冷浴を4セットくらい、水風呂が冷たく感じなくなるまでやってもらう。お風呂の隣の洗面台で髪を乾かすお母さんとお父さんが会話しているのが台所で夕飯の支度の仕上げをするわたしに聞こえてくる。

今日は太陽がたっぷりで暑かったし、夕飯前にみんなお風呂でさっぱりしたのでビールで乾杯も美味しい。調子に乗っていつも1本を3人で分け合うところを2本も開けてしまった。

プレゼントの飾りのために教えたフレーベルの星作りにすっかりハマってしまったお父さんは夕飯の後も自分の部屋でひたすら星作りに熱中している。明日もリハビリに持って行って練習するのだそう。負けず嫌いで難しいことにチャレンジするのが大好きなお父さん。お母さんはテレビの音を子守唄がわりにして台所でうとうとしている。いつもの実家の家族の風景。わたしはなんだかしあわせな気持ちでいっぱいになってきた。実家に帰って一週間。のんびりとしたおだやかな安心がここにある。ひとつ屋根の下でそれぞれの安心の時間を過ごしていく、まとまりがなくて、でも近くにいてくれるとほっとする、これが家族というものかと思った。

この記事が参加している募集

今日の振り返り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?