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【ガストロノミー】10/29大河原弓彦誕生日 記念Short Story:誘惑のSea Side

このお話は【ガストロノミー】のある日のサイドストーリー、ヒロイン目線のお話です。
※アプリゲーム内ミニシナリオをアレンジして再掲載です(アプリは現在サービス終了しています)。

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<アプリシナリオ>


誘惑のSea Side


別荘に戻って夕食をとった後、私は弓彦先生に夜の海へ誘われた。

あなた「これからですか?」

大河原弓彦「嫌かい?」

あなた「そんなことはありませんわ。でも夜の海って真っ暗なので、少し怖くて」

大河原弓彦「確かに、夜だと何も見えないから
得体の知れない魔物でも潜んでそうだよねえ」

あなた「誘っておいて、そんな怖いこと言わないでください……」

大河原弓彦「はは、ごめん。でも、今日に限っては大丈夫だから、ついてきてごらん」





躊躇しながら砂浜へやってくると、どうして誘ってくれたのか理由が分かった。

あなた「今夜は満月なんですね。海が光っていてとてもキレイ」

大河原弓彦「これなら怖くないだろ?」

大河原弓彦「月明りに凪いだ海。デートにぴったりだと思わないか」

あなた「ふふ。ロマンチックで素敵です」

ふたりで手をつないで海岸沿いを歩いていると、視界の端に見慣れた後姿があった。

あなた「あれって、もしかして……」

大河原弓彦「いつも以上に闇に溶け込んでいるなあ。
……おーい、十影!」

声に振り返った十影さんは、相変わらず夜目でもわかるほど眉をしかめている。

緑川十影「どうしてここに?」

大河原弓彦「見れば分かるだろう」

緑川十影「昼も夜も逢引とは、お熱いことで」

あなた「えっ」

大河原弓彦「昼間は、かき氷屋を探しに行っていただけだよ」
彼女が食べたがっていたからね」

緑川十影「それだけに、一日かけたと言うのか。
かき氷なんてそこらじゅうに売ってるだろうに」

大河原弓彦「途中で、彼女の具合が悪くなってしまってね。
ずっと、介抱していたから」

緑川十影「それは初耳だ。大丈夫なのか?」

あなた「……ええ、もうすっかり。ありがとうございます」

手がじわりと汗ばむ。
それが恥ずかしく、つないだ手をふりほどいてしまう。

あなた「十影さんは、何をしているんですか」

緑川十影「海釣りをしようと思って、波止場へ向かうところだ」

大河原弓彦「こんな夜に?」

緑川十影「夜の方が釣れる。
人の気配がなくて静かだからな。
それに、昼間は暑くて釣りなんて出来たもんじゃない」

大河原弓彦「なるほど。面白そうだから僕たちもやってみようかな」

緑川十影「絶対ついてくるな」

大河原弓彦「そんなに嫌がらなくても」

緑川十影「やめてくれ。騒がしくなる。
お熱いのは勝手だが、俺まで巻き込むまないでくれ。
じゃあな」

そっけなく言い捨てて、十影さんは去っていく。

あなた「もしかして、呆れられてしまったんでしょうか」

大河原弓彦「まあ、十影はいつもあんな感じだから、気にしなくていい。
それより、僕の手を振り払うとはひどいなあ」

あなた「ごめんなさい……手に汗をかいてしまったので」

大河原弓彦「昼間、みんなから
隠れてイチャイチャしてたのを思い出しちゃった?」

あなた「……っ」

弓彦先生は笑いながら私の腰を抱き寄せる。

大河原弓彦「昼間はゆっくり出来なかったから、続きをしようか」

あなた「ダメですよ、こんなところで」

大河原弓彦「それは”ここでは”嫌だと言う意味だよね。それならば、別荘へ戻るまでなら我慢するけど」

あなた「からかわないでください」

大河原弓彦「満月は人を狂わせると言うだろう?
今すぐ、君を狂わせてしまおうか」

あなた「えっ?」

先生の表情が急に変わったような気がして、ゾクッとする。

大河原弓彦「ははは、冗談だよ」

でも、それは一瞬のこと。
すぐにいつも明るい笑顔になる。

大河原弓彦「僕が恋に狂っているのは、満月に限ったことじゃないからね」

ロマンチックとは程遠い欲望だらけの心を、見透かすように満月が見下ろしている――。



END

シナリオ:NINOYA
(2016年8月配信イベント”誘惑のSea Side”エクストラシナリオより)


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