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東京大空襲から79年 各地で慰霊

 一夜にして10万人が犠牲になったとされる1945年3月10日の東京大空襲から今年で79年を迎える。戦争を知る世代が年々減る中、当時を偲ぶとともに次世代に記憶を引き継ごうと各地で行事が開かれた。
 森下5丁目町会は10日、猿江橋西側にある鎮魂のための「八百霊(やおたま)地蔵尊」前で供養祭を開催した。当時の深川高橋五丁目は大空襲で炎に包まれ、多くの犠牲者を出した。終戦翌年、鎮魂のため地蔵が建立され、2015年には、巻物を基にして地蔵尊わきに犠牲者の名前を刻んだ墓誌を設けた。後世に語り継ぎたいと町会が管理し、この日も多くの人が焼香に訪れ、犠牲者を悼んだ。
 記憶を継承するためイベントも開かれている。9日、深川江戸資料館で開かれた「東京大空襲を語り継ぐつどい」には約200人が訪れ、大空襲体験者の話に耳を傾けた。北砂で14歳の時に被災した竹内静代さんは家族3人で江戸川区に避難したことで危機を脱した。その後、東京駅に向かう途中で多くの死体の山に遭遇した。「徐々に死体を見ても何も思わなくなった。感情をなくす怖さを後で感じた」。当時の異常な経験を振り返った。
 戦争体験者が減る中、若い世代への継承が課題になっている。同つどいでは、高校生3人による戦争に関する調査発表も行われ、それぞれ感じた思いを吐露した。調査に協力した東京大空襲・戦災資料センターは、大空襲の記憶を風化させないため今後も若年世代とのコラボ企画を実施するという。
 来年は、東京大空襲から80年の節目を迎える。

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