ライトセーバー

王者の風格。

映画『スター・ウォーズ』の最新作、完結編となるエピソード9の邦題が、昨日決まったとタイムラインに流れてきた。

" スカイウォーカーの夜明け "

超大作をつくる人たちに敬意を払いたいと思いつつ、この名前には相当ガッカリした。

あのオープニングの「ジャジャーン!」があって、その後に出てくるサブタイトル。

そして、公開の12月までワクワクしながら待つための名前。

それがこれでいいとは、どうしても思えない。
名前にとって大事ななにかが、抜け落ちていると感じた。

「ドラゴンクエスト」「ディズニーランド」「エヴァンゲリオン」「ゴジラ」「嵐」「サザンオールスターズ」など、エンターテイメントの世界において強く魅力的なものには、それにふさわしい名前がついていると思う。「スター・ウォーズ」もそうだ。

人気が出たからそう感じるのか、名前にその力が備わっていたのかは、今となっては分からない。でも「よくぞその名前をつけた」と感服するような説得力が、それぞれの名前には宿っている。

その言葉だけで、わくわくすることができるような、王者の風格がただよう名前。

『スター・ウォーズ』のサブタイトルに求められるものも、それだと思う。

まして、今回は完結編なのだ。
それが直訳としても意訳としても微妙な「スカイウォーカーの夜明け」でいいと判断されたことに、すでに期待を裏切られたような喪失感がある。

原題の「The Rise of Skywalker」には、それが宿っているからこそ、余計に。

王者といえば、テニスの大坂なおみ選手がランキング1位から陥落した。
女王になって以来、辛そうなプレイが続いていた印象があったから、女王の座を守るのは相当大変だったのかもしれない。

それまでのハツラツとした、風通しのよい表情や笑顔が、彼女からだんだんと消えていったように感じられた。

『スター・ウォーズ』の邦題と大坂なおみ選手から消えていったものは共通しているように思う。

それは子どもの頃に『スター・ウォーズ』に興奮したり、テニスを楽しんで「好きだ!」と強く感じたりしたときの震えのようなもの。「オタク」とか「中二」と呼ばれるあたりにある激しい振動だ。

強いプレッシャーにさらされたり、真面目になりすぎたりすると、その震えは萎縮して止まってしまう。
すると、物事を自分一人で無理にコントロールせざるを得なくなって、みずみずしさが失われてしまう。出てきた表現は「間違ってはいないけれど、魅力はない」ようなものになってしまう。

逆にいえば、王座にいながら自閉せず、相次ぐプレッシャーの中でもそれを守り続けられる強さが、王者には必要なのかもしれない。

その力のない者は蹴り落とすぐらいの厳しさが、王座にはあるのか。

実際に観た「エピソード9」が「邦題くらいのことでケチをつけて申し訳ありませんでした」レベルのものであったらいいなと思うし、大坂選手がさらに強くなって、絶対女王の座に君臨してくれたらいいなと思う。

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