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釣り人の違反行為の傾向


みなさんは釣りに関する規制(レギュレーション)にはどんな印象をお持ちでしょうか?

「キャッチ&リリース(C&R)」や、「バーブレスのみ利用可」などの規制や制限は、管理釣り場をはじめとして、今では自然河川や湖、海などでも行われるようになりましたよね?

今回は釣り人の違反行為の傾向について考えてみたいと思います。
Schill, D. I., & Kline, P. A. (1995). Use of random response to estimate angler noncompliance with fishing regulations. North American Journal of Fisheries Management, 15(4), 721-731.

この研究では、アメリカのアイダホ州の河川や湖で、釣り人に「ランダムレスポンス法」というアンケート調査をして、釣り人がどんな違反をしやすいのか?また違反する人にどんな傾向があるのか?を調べています。

まず、どんな規制があるのか整理します。
河川:
①C&R区間
②エサの使用禁止区間
③バーブレスフック(反しなし釣針)の使用
④サイズ制限(C&R以外)
湖:
⑤漁獲尾数の制限(2尾以上の持ち帰り)

今回対象とした河川の規制は結構厳しく、4つも指定されていましたが、湖の規制は唯一「漁獲尾数の制限」だけでした。

さて、結果をみてみましょう。

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グラフの通りで、河川で最も多かったのは「バーブレスフックを使用しなかった」という違反で30%近くにのぼりました。

しかし、このうち、”故意ではなく”バーブレスフックを以外を利用した釣り人は21%でした。

他の規制は”故意に”その行為に及ぶことで違反をしますが、バーブレスフックの利用は、”たまたま”忘れてしまった場合も入ります。

例えば、多くの釣り人は通常は規制を順守していると答えたとしても、時には個々のフライやルアーの反しを平らにするのを忘れてしまうことがあります。

こういったことを踏まえると、本来の違反者(故意に行為に及ぶ釣り人)は、サイズ制限や漁獲制限と同程度の範囲と考えることができますよね。

また、今回の回答者の傾向をみていくと面白い傾向があったそうです。

例えば、今回の調査地では「C&R区間」と「持ち帰りはできるがサイズ制限がある区間」がありました。

それぞれのアンケートの結果、C&R区間の釣り人の94%が規制について熟知していたのに対し、持ち帰り区間の釣り人は70%程度しか規制を知らなかったそうです。

また、30歳未満の釣り人がそれ以上の年齢の釣り人に比べ規制への理解が低かったり、エサ釣りやルアーマンに比べフライマンの規制への理解が高いことなどもわかっています。
(”熟練のフライマンこそ紳士”というのは間違っていませんね!!)


なお、ランダムレスポンスという調査は、プライバシーを保護した上でとても答えやすいアンケートになっており、釣り人に警戒心をさほど与えずに回答を引き出すことが出来たようです。

実際に1,061人にインタビュー形式でアンケートを行った結果、回答を拒否したのはわずか3人だったそうです。

このように、信頼性が高い調査から得られた結果から、私たち釣り人に色々な示唆与えてくれる内容でした。

どんな規制であっても何かしらの違反は10%程度は存在するというのが、釣り規制の真実なのかもしれませんね。

今回はあまり触れることはしませんでしたが、「違反釣り人の心理状態」などはいずれまた深堀したいと思っています。

それではまた次回お会いしましょう。

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