nipon_hitode

地方弱小研究機関の若手研究者です。水中の生物を研究しています。趣味は釣りです。

nipon_hitode

地方弱小研究機関の若手研究者です。水中の生物を研究しています。趣味は釣りです。

最近の記事

GTの行動範囲は意外と狭い!?

科学論文を釣り情報へ還元する第37回目の投稿です。 先日、南の島に移住した友人から、「GTが釣れ放題なう・・・」という死語交じりの自慢連絡もらったので、本日は”南の怪魚GT”についてご紹介しようと思います。 今回ご紹介する論文はこちらです。 Meyer, C. G., Holland, K. N., & Papastamatiou, Y. P. (2007). Seasonal and diel movements of giant trevally Caranx ign

    • シーバスに出会うための近道はありますか?

      科学論文を釣り情報へ還元する第36回目の投稿です。 シーバスの釣果を上げるためには、回遊や食事のタイミングって大事な要素ですよね。 一般的には「潮回り」を気にして釣りをすることは(シーバスに限らず)釣りの鉄則になっていますが、これってどういう意味があるのでしょうか? よく言われるのは、満潮になれば干潮時には干上がる場所までサカナたちが入り込めるようになり、エサとなる色々な小魚の行動範囲も広まります。 その結果、シーバスが小魚と遭遇する機会が増えるようになり、これがシー

      • いつになったらキャッチ&リリースの効果はわかる?

        科学論文を釣り情報へ還元する第35回目の投稿です。 前回から釣りに関する規制(レギュレーション)についてご紹介しています。 キャッチ&リリース(C&R)はみなさんもよくご存知のレギュレーションですよね? C&Rは、資源保護を目的に「釣ったサカナを元いた環境へ(やさしく)帰す」という行為として広く知られています。 釣りのレギュレーションとしては最もポピュラーであり、19世紀にフライフィッシングの本場イギリスが起源と言われます。 日本では1995年に北海道の渚滑川(しょ

        • 釣り人の違反行為の傾向

          みなさんは釣りに関する規制(レギュレーション)にはどんな印象をお持ちでしょうか? 「キャッチ&リリース(C&R)」や、「バーブレスのみ利用可」などの規制や制限は、管理釣り場をはじめとして、今では自然河川や湖、海などでも行われるようになりましたよね? 今回は釣り人の違反行為の傾向について考えてみたいと思います。 Schill, D. I., & Kline, P. A. (1995). Use of random response to estimate angler no

        GTの行動範囲は意外と狭い!?

          冬のトラウトたちはドコへ?

          科学論文を釣り情報へ還元する第33回目の投稿です。 ニジマスやブラウントラウト、イワナなどの河川に住むトラウトたちの冬の生活ってどんな状況なのでしょうか? そもそも、あまり釣りには出ずらい時期ですから、意外と知られていないことが多いですよね。 そんなトラウトたちの河川における冬の行動について調べてみました。 今回は、フィンランドの河川に住む大型のブラウントラウト(60cmオーバー)の冬の行動に関して報告した論文をご紹介したいと思います。 Roper, B. B., S

          冬のトラウトたちはドコへ?

          川と海でシーバスの”引きの強さ”は変わるのか?

          科学論文を釣り情報へ還元する第32回目の投稿です。 今回も前回に引き続きシーバス(スズキ)の行動をテーマにしました。 シーバスアングラーはご存知の通り、シーバスは河川でも、河口でも、沿岸域でも狙うことのできる、とてもゲーム性の高いサカナですよね。 今回調べてみたのは、「海水(塩水)」と「淡水」でシーバスの遊泳能力は変わるのか?というテーマです。 今回もヨーロッパシーバスという欧州の広い範囲に生息するシーバスを対象にした研究です。 Chatelier, A., McKe

          川と海でシーバスの”引きの強さ”は変わるのか?

          規則正しいサカナ、シーバス。

          科学論文を釣り情報へ還元する第31回目の投稿です。 今回はシーバス(スズキ)の産卵前後の行動をテーマとしています。 シーバスは日本でもお馴染みの釣り対象魚ですよね? (私のnoteでも、過去にフックの取り外しに関して、シーバスを取り上げています↓↓) 今回の研究ではヨーロッパシーバスという、欧州の広い範囲に生息するシーバスを対象にしています。 Doyle, T. K., Haberlin, D., Clohessy, J., Bennison, A., & Jessop

          規則正しいサカナ、シーバス。

          「川の主」を釣るには?

          科学論文を釣り情報へ還元する第30回目の投稿です。 今回は「川の主」を釣るには?というテーマを考えてみたいと思います。 川の主と言えば、レトロゲーム「川のぬし釣り」や「釣りキチ三平」の巨大イワナの回でおなじみですよね。 言ってしまうと味気ないですが、要は「その川に1尾か2尾しかいないような大型のトラウト」はどんな場所に多く存在し、また、どのような川で出現率が高いのか?というのが私たちが知りたいところですよね。 フライフィッシング発祥の地、イギリスの2つの河川でトラウト

          「川の主」を釣るには?

          トラウトが大好きな場所はどこだ?

          科学論文を釣り情報へ還元する第29回目の投稿です。 今回のテーマ:トラウトが大好きな場所はどちら?今回ご紹介するのはこちらの論文です。 Morita, K., TSUBOI, J. I., & Matsuda, H. (2004). The impact of exotic trout on native charr in a Japanese stream. Journal of Applied Ecology, 41(5), 962-972. この論文では、北海道のあ

          トラウトが大好きな場所はどこだ?

          続・神出鬼没の怪魚、イトウ

          科学論文を釣り情報へ還元する第28回目の投稿です。 今回のテーマ:続・神出鬼没の怪魚、イトウ前回に引き続き、幻の怪魚イトウに関する論文をご紹介します。河川から汽水域までの行動パターンを研究したテーマの2つの論文をご紹介します。 Honda, K., Kagiwada, H., Takahashi, N., & Miyashita, K. (2014). Movement patterns of adult Sakhalin taimen, Parahucho perryi

          続・神出鬼没の怪魚、イトウ

          神出鬼没の怪魚、イトウ

          科学論文を釣り情報へ還元する第27回目の投稿です。 今回のテーマ:神出鬼没の怪魚、イトウ今回ご紹介するのはこちらの論文です。 Suzuki, K., Yoshitomi, T., Kawaguchi, Y., Ichimura, M., Edo, K., & Otake, T. (2011). Migration history of Sakhalin taimen Hucho perryi captured in the sea of Okhotsk, northern

          神出鬼没の怪魚、イトウ

          ブラウントラウトのお好みの場所は?

          科学論文を釣り情報へ還元する第26回目の投稿です。 今回のテーマ:ブラウントラウトのお好みの場所は? 今回ご紹介するのはこちらの論文です。 Young, M. K. (1995). Telemetry-determined diurnal positions of brown trout (Salmo trutta) in two south-central Wyoming streams. American Midland Naturalist, 264-273.

          ブラウントラウトのお好みの場所は?

          パブロフのニジマス?

          科学論文を釣り情報へ還元する第25回目の投稿です。 今回のテーマ:逃げたサケマスを集めるためには・・・ 今回ご紹介するのはこちらの論文です。 Tlusty, M. F., Andrew, J., Baldwin, K., & Bradley, T. M. (2008). Acoustic conditioning for recall/recapture of escaped Atlantic salmon and rainbow trout. Aquaculture,

          パブロフのニジマス?

          養殖場から逃げ出したデカいニジマスを釣りたい!

          科学論文を釣り情報へ還元する第24回目の投稿です。 今回のテーマ:脱走デカニジを探して今回ご紹介する論文はこちらの2本です。 Skilbrei, O. T. (2012). The importance of escaped farmed rainbow trout (Oncorhynchus mykiss) as a vector for the salmon louse (Lepeophtheirus salmonis) depends on the hydrologi

          養殖場から逃げ出したデカいニジマスを釣りたい!

          釣りの影響でバスの巣が移動する?

          科学論文を釣り情報へ還元する第24回目の投稿です。 今回のテーマ:釣りの影響でバスの巣が移動する? 今回ご紹介するのはこちらの論文です。 Twardek, W. M., Shultz, A. D., Claussen, J. E., Cooke, S. J., Stein, J. A., Koppelman, J. B., ... & Philipp, D. P. (2017). Potential consequences of angling on nest-site

          釣りの影響でバスの巣が移動する?

          釣りが理由でサケの子孫が小さくなる?

          科学論文を釣り情報へ還元する第23回目の投稿です。 今回のテーマ:釣りが理由でサケの子孫が小さくなる? 今回ご紹介するのはこちらの論文です。 Saura, M., Moran, P., Brotherstone, S., Caballero, A., Alvarez, J., & Villanueva, B. (2010). Predictions of response to selection caused by angling in a wild populatio

          釣りが理由でサケの子孫が小さくなる?