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ブラウントラウトのお好みの場所は?

科学論文を釣り情報へ還元する第26回目の投稿です。

今回のテーマ:ブラウントラウトのお好みの場所は?

今回ご紹介するのはこちらの論文です。

Young, M. K. (1995). Telemetry-determined diurnal positions of brown trout (Salmo trutta) in two south-central Wyoming streams. American Midland Naturalist, 264-273.

この論文ではブラウントラウトに発信機をつけて追跡することで、河川のどういった場所で生活しやすいのかを調べています。

今回の論文をまとめると、ブラウントラウトは水深が深く、カバーのあるような場所をメインの生息地にしている、ということでした。

この研究ではアメリカのワイオミング州の2つの河川で、30~50cm程度のブラウントラウトを対象としていました。

日中のブラウントラウトの行動を追跡してみると、川岸がエグレて水深が十分に深く、オーバーハングした木の下にいることが多かったそうです。
これは人が近くにいても変わることがなく、特に大型のブラウントラウトほどその傾向が強かったそうです。

なぜこんなところにいるのか??

それは、①捕食者から身を守るため、または②餌をとるための戦略、この2つが考えられます。

例えば、今回研究した河川にはミンクや鳥類などの捕食者が多いことが一つの理由と筆者は考えています。

また、ブラウントラウトは割と雑食で昆虫からサカナまで色々な生物を餌としているようですが、昆虫を餌とする時期でなければ、流れに関係なく、特にこういった深くエグレた場所をこだわる可能性も指摘されています。

しかしながら、生存を脅かす捕食者(釣り人含む)が少なければ、特に30cm以下の小型ブラウントラウトでは、積極的に餌を捕食するため流れの強い場所へ出てくることもあるそうです。

話は若干変わりますが、河川に生息する魚類は水深や流速、河床の砂のサイズなど物理的特性でもっとも適応しやすい場所を選んで生息しており、こういった場所を「マイクロハビタット」と呼んだりします。

釣りをする際は、川を歩きながら、こういった河川の特徴を理解し、マイクロハビタットを発見できれば攻略法は見えてくるかもしれませんね。

それではまた次回お会いしましょう。

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