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来たはずの道

どこかで落としたのかもしれない。
私は今来た道を戻って行く。
地面に目をこらしながら、落としたモノを探しながら歩く。

もう随分戻ってきた。
誰かが拾ってしまったのだろうか。

そもそもほんとに落としたのだろうか。
そもそも私は落とすようなモノを持っていたのだろうか。

何を落としたかも何を持っていたかもあやふやになってきた。
しかし私は来た道を戻り続ける。
落としたモノを探しながら。

顔を上げて辺りを見渡す。
もうここが来た道なのかも思い出せない。
けれど今の私は来たであろう見覚えのない道を戻り続ける。
落としただろう何かを探しながら。

遠くから祭り囃子が聞こえる。

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