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多様性より多面性。立体よりレイヤー的な見方の重要性。虹と服と恋愛と東京とダイバーシティと、映画・ジョーカーについて。あと展示会の告知。

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多様性より多面性。立体よりレイヤー的な見方。今大事なことってここじゃないかと、よく思う近頃。

一人ひとりが自分自身の個性や特性を主張、セルフブランディングすることによって、そのブランディングに自分自身が身動きが取れなくなっている状態の人間。によく出会う。


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これは何もデザイナーに限った話じゃない。SNSというツール、画像加工アプリ、ハッシュタグ、マッチングアプリを使って、自分自身や日常や出来事を演出したり表現をする人間ならば、デザイナーだろうが、アイドルだろうが、AV女優だろうが、大学生だろうが、高校生だろうが、誰にでも。インスタの投稿一つに一日中悩んでしまったりなんて、どこでも聞く話だろう。

誰もが自分自身をポケモンの属性別のように、自分はこういう独自属性を持っていますと主張する余りに、その属性以外の要素を認められない、あるいは提示出来ずにいることによる苦悩。に近頃よく出会うようになった。



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ダイバーシティー最高/多様性さえ認めればいいでしょ。って流れが生んだ一つの弊害。映画・ジョーカーを見た多くの人が思っただろう。人は一側面だけで測れない。一属性では測れない。

LGBTQ、レインボーカラー。人々は男女性差だけじゃなくて、もっと細かく分類分け出来るんだよ。という運動に救われた人は多くいるとは思う。だけどその先は?


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細かく分類されて、誰もが自分の個性を重んじて、自分を属性付けて、それはそれでいい。けど、その個が永遠に変わらない訳でもない。属性は一つじゃなくていくつも持っていたり、重なっていて当たり前なのに。

あなたはこう、私はこうだと、分類分けしたり、されたりすることで、また救われない人が生まれる。


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多様性を受け入れるなんて今時当たり前
「人類は多様です」と言うよりも
「ある個人の中に多面性があって、それは面と面が立体的に組み合わさってるというより、優しさという面の下に苦悩が、性愛の面の上に愛情が重なっているみたいな、レイヤー的な構造を持ってる」ということ、これを前提として物事を見つめるべきではないかと、現代と未来、ファッションと恋愛において、ふと思ったこの頃。


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恋は上書き、なんて言う女の子がいるけれど、それは板の上に板を上書きしてるというより、薄いレースをいくつも重ねてるようなイメージではないか。重なる模様、その模様の重なり具合が、その人の人となりじゃないだろうか。だからおのずと、言葉に出来なくなるのではないのだろうか。


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「50人いたら50人の属性に分けられるんですよ」と見つめるだけのダイバーシティー的な思考訓練よりも「一人の人間の中に、50でも100でも属性があるんだよ」「そしてそれは一つ一つが個別に存在してるというより、色んな要素が重なりあってる状態なんすよ」と言い切る。そんなレイヤー的な思考が大事じゃないかと。それをどれだけ受け入れられるか・主張していられるかが、今後の課題になっていくんじゃないかと思う。アップデートするべき項目。


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自分自身で作り出したキャラクターに縛られる必要はない。ブランディングに縛られる必要はない。個性・特性・思想全て、色んな要素が重なってはじめて模様になってる。「私はこういう人間です」と言い切るより、「私は複合的・階層的な人間なんです」と誰もが言い切れる方が、そんな社会の方が、きっと今よりもっと健全で健康だ。


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そういうことを思い始めてから、その効果に気付いてから、ツイッター上での「ブランドらしさ」「ファッションブランドのアカウントだからこういうことだけ発信してた方がいいだろう」を無視するようになった。

自分はこういう人間ですというセルフブランディングで、自分の身動きが不自由となる人々に多く出会ってきて、そういう人たちに届けたい感情を思うなら、自分自身がブランドらしさに囚われてたら、これは違うだろう。

セルフブランディングのし過ぎを避けることで、作ることや発表することへのストレスがなくなって、プラス方面での悩みや考えることに使える時間が増えて、結果的に、作るものへの純度が前よりも高くなった。

と、胸を張って思えるようになった。


以下インスタの更新で、新作の服について書いたことから抜粋。



「階層的構造」は、
3.4ヶ月前、今回のコレクションを作るにあたって
一番初めに浮かんだキーワード

東京、物語、新しい、古い
虹、
虹のような出来事
虹のような恋
虹のような人々

一言じゃ言えない
一色じゃ描けない、は突き詰めた
つぎはぎの一枚布でも描ききれない
重なってる状態、積層的なディティール

多様性というより、多面性
面ではなく、立体
立体というより、レイヤーの感覚
描きたいものを、形にするための手法はここ


ブランド一年目の頃
「君と色褪せるクラッチ」と名前をつけて
経年変化によって落ちる塗料と落ちない染料を使って
階層的に着色したテキスタイルを用いたバッグを発表していた

それは人気アイテムで当時100点近く売れたけど、
自分の中でこれしか方法論がないことに疑いが生まれて
長い間作らないでいた

ブランド四年目、連載展示三回目にして
やっと「レイヤー構造の服」が作れるようになった
あの頃と変わらない原点で
変わった今を見に来てくれたら嬉しい


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「虹色」という新しい色でくくるLGBT運動よりも、
「虹色からはみ出たニューレインボーズ思想」を掲げたい。

ニューレインボーズ
レイヤー構造
それは、名前の付けられない色彩階調/グラデーション

鮮やかな虹色だけじゃない
濁った色や、滲んだ色、くすんだ色、全てをひっくるめた色
つまり僕らやあなたのことだ


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「いつもあなたは自分の服に名前を付けていたのに、
 もうつけなくなったんですね」

と、長年来てくれていたお客さんに展示会にて、
残念そうに言われたことがある

今回のコレクションの中では名前を付けなくなった訳
あなたにも伝われば幸いです


新作吉祥寺展示まで、あと3日。


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nisai 2019AW collection part3
”新しい虹と物語を持つ服と東京とあなたと”
#TOKYONEWRAINBOWS

日時
10月25日(金)→10月27日(日)
12:00→20:00

場所
バツヨンビル 1階+2階
武蔵野市吉祥寺本町2丁目13−1

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