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小さな写真家、何を見る。

休日の日中に都内で電車に乗っていた。

空いている車内で目に留まったのは
立派な一眼レフカメラを首から下げた
小学校1年生くらいの男の子。

大きく重厚感のあるNikonのカメラは
彼の体を小さく見せる。

まるで宝物のように、
彼の両手はカメラをやさしく包むように
添えられている。

車窓の外の景色を眺めながら、
時折、シャッターを切る。

パシャパシャとなるシャッター音。
乗車している大人は少年に釘付けになる。

彼が何に好奇心を抱いているのか
大人には皆目見当もつかない。

だが、僕たち大人が見過ごしているものを、
純粋で新鮮な視点で捉えているに違いない。



同じ車両のドア付近に立っている男性も
少年のシャッター音に気づいた大人のひとり。

手にはCanonの紙袋。
首からはネックストラップを下げている
サラリーマン風の装い。

少年が車窓からシャッターを切る姿を
喜ばしい笑顔で見守っていた。

男性もカメラや写真が好きで
Canonに勤めているのだろうと
容易に想像ができた。

少年に向けられた温かい眼差しは、
かつての自分を見ているかのような
やさしさ溢れる印象的な光景だった。



大人から見れば何の変哲もない日常。

それは少年の目からすると
シャッターに収める価値のある新鮮な非日常。

彼の目を通せば、僕たちが見失っている
日常の美しさを再発見できるかもしれない。

その一心不乱にシャッターを切る姿に、
僕はお金を払ってでも少年が見ている世界を
見てみたい衝動に駆られた。



小さな写真家から学ぶことがある。

日々の生活において、
純粋な好奇心を持ち続け、常に新しい視点で
世界を見つめることの大切さ。

日常の当たり前の風景にも
非日常を見つける。

一瞬一瞬を大切に捉え直してみる。

そんな日常の審美眼を養えば、
毎日がもっと色鮮やかな日々に映るはずだ。



エッセイシリーズ 〜バックナンバー〜


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