サッカー日本代表対スイス代表 レビュー

ロシアワールドカップ前に行われる国際親善試合、サッカー日本代表対スイス代表は、0-2でスイス代表が勝ちました。

スイス代表との試合のプレビューで、チェックポイントとして攻撃は、「どうパスを受けるか」「どう相手を外すか」「どうボールを運ぶのか」の3点。守備は、「ボールを奪われた直後のアクション」、「ボールを奪いにいく場所」、「ボールをどこで奪えたのか(奪えなかったのか)」を挙げました。

「どこで」守備を始めるのかがはっきりしなかった前半

まずは守備です。

前半15分までは、スイス代表にスムーズに日本代表陣内にボールを運ばれてしまいました。前半のスイス代表は、守備時は4-4-2というフォーメーションを採用していますが、攻撃時は3-3-4というフォーメーションに変化します。

MFのベーラミが中央のDFの間に下がり、この3人の横方向のパス交換で相手を動かし、相手が移動するのが遅れたことで生まれたスペースでMFの選手がボールを受け、ボールを相手陣内に運んでいきます。中央縦方向のパスが通らなければ、右サイドはリヒトシュタイナー、左サイドはリカルド・ロドリゲスがいるので、困ったらサイドの2人にパスを出して、相手陣内にボールを運ぼうとします。

日本代表は、4-4-1-1というフォーメーションで守っていたのですが、なかなかボールを奪うことが出来ません。

FWの大迫がDF3人に対応しているので、DF3人にとっては、数的優位な状況でパス交換が出来ています。大迫の後方にいた本田は、誰に対してマークをするのかはっきりしません。大迫1人がボールを追いかけ回すことになってしまい、なかなかチームとして「ボールを奪いにいく場所」がはっきりせず、ボールを奪えないままズルズルと後退し、スイス代表の攻撃を受けてしまいました。

日本代表は、前半15分過ぎに守備を修正します。

大迫の役割は大きく変わりませんが、本田にMFのジャカをマークさせ、DFからMFへのパスコースを限定しようと試みます。また、左中央のDFを務めるアカンジのロングパスを警戒して、右サイドでパス交換させるように仕向け、右中央DFのシェアにボールを持たせるように仕向けていました。

前半15分までは、本田、大島、長谷部が、誰を、どうマークするのかはっきりしていなかったのですが、マークする相手を修正したことで、中央にスペースが空かなくなり、スイス代表はなかなかボールが運べなくなり、センターライン付近でボールを奪う場面も、時間が経つごとに増えていきました。前回のガーナ代表戦では、DFとMFの間のスペースが空く場面が何度かありましたが、ガーナ代表戦に比べると、その機会は減りました。

ただ、試合中に修正出来たことはプラスに考えて良いと思いますが、スイス代表のこのビルドアップは、元々チームとして決まっていたやり方だと思いますので、対策を準備することも出来たはずです。

本田の守備を修正することで改善しましたが、FWが守備の時に動く距離が長くなり、攻撃の時には疲れてしまい、相手の守備を崩すような動きはなかなか出来ませんでした。2失点目は選手の疲労が自陣に戻るアクションを遅くしたのが、要因だと思います。

なお、コロンビア代表はスイス代表同様に、攻撃時はDF3人でパス交換しながらボールを運んできます。今日の試合の反省をどう活かすのか、注目したいと思います。

センターラインをいかに越えるのか

続いて攻撃です。

気になったのは、センターラインを越えるまでにどうやってボールを運ぶのかが、まだ整理されていないということです。

前半のスイス代表は、守備時は4-4-2のフォーメーションで守ります。

日本代表の吉田と槙野には、スイス代表のFWが2人対応します。すると、FWの守備の圧力を受けて、槙野は上手くボールを運べず、ミスを繰り返してしまいます。

DF2人に相手FW2人がボールを奪いにくるとボールが運べないので、前半途中から大島が吉田と槙野の間に下がり、ボールを受けることで、スイス代表FW2人に対して、3人で対応することで数的優位を作り、少しづつボールを相手陣内に運べるようになりました。

ただ、槙野のプレーを観ていると、ボールを持った時に余裕がなく、攻撃の起点になれないのは明らかなので、相手チームは槙野にボールを集めて、ボールを奪おうと仕掛けてくるはずです。槙野の問題は、チームの問題というよりは個人の技術の問題なのですが、槙野を起用するのであれば、回避策を用意しておく必要があると感じました。

センターラインを越えるまでのボールの運び方は、試合を通じて試行錯誤を繰り返していました。

大島がDFの間に下がるパターンは前半は繰り返し行っていましたが、後半はスイス代表が4-3-3のフォーメーションに変更したこともあり、実行しませんでした。後半は長谷部が吉田と槙野の前に立ち、右に大島、左に本田が並列で立ち、吉田と槙野の前方でボールを受けようとします。原口や宇佐美(乾)も時折パスを受け、スイス代表の守備を外していきます。

後半のスイス代表は4-3-3に変更したのですが、4-3-3に変更したことで、中央のMFのベーラミの両脇にスペースが空くようになり、空いたスペースで日本代表がボールを受けるようになった結果、少しづつ日本代表が押し込む時間が増えていきました。

スイス代表のベーラミとジャカの守備はこの試合を通じて上手く機能していませんでした。2人とも、ボールを奪いにいかなくてよい場面で奪いにいってしまうため、相手に攻撃されるスペースを空けてしまいがちだからです。

日本代表としては、後半15分頃に相手の守備のアクションが止まり、ボールをスムーズに相手陣内に運べている時間帯で得点が欲しかったのですが、選手も守備で疲れていて、攻撃にパワーが残っていなかったのだと思います。ペナルティエリアまでボールを運ぶのが精一杯で、ペナルティエリア内に侵入するために仕掛けるようなプレーをしていたのは、乾と香川だけでした。

チームの課題をどう解決するか

この試合を観終わって感じたのは、攻撃も守備も、センターライン付近でどう戦うのか整理出来ているのだなということです。

ただ、FWがどのように守備を始めるのか、DFがどう攻撃を始めるのかについては、まだチームとして試行錯誤している段階だとも感じました。守備の起点、攻撃の起点でスムーズに動けていないので、無駄な動きが増えてしまい、自陣ゴール前と相手ゴール前で疲れてしまっているのではないか。そう感じました。

ここからチームがやることは、主に2点あると思います。

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西原雄一

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