2018年J1第11節 ヴィッセル神戸対川崎フロンターレ レビュー「僕は"凄い田坂祐介"が戻ってくることを楽しみにしている」

2018年J1第11節、ヴィッセル神戸対川崎フロンターレは、2-1で川崎フロンターレが勝ちました。

この試合のプレビューにも書きましたが、予想通り知念はベンチ外。守田は出場機会はありませんでした。

2人とも開幕からコンスタントに出場し、調子の上がらない選手の代わりを務めていたので、疲れもピークだったと思いますので、よい休養になったと思います。

知念は疲れからか身体が動かず、「相手を外す」動きがほとんどなくなっていました。守田は、ボールが止まっていない時があり、本来なら選択できていたパスコースが選択できず、攻撃で一手間増えてしまう要因になっていました。

ただ、疲れている時ほど「苦手なプレー」であったり、「選手の癖」というものが分かるものです。

疲れているときは、頭で考えていることなんてどこかにすっ飛んでしまい、身体に刷り込まれた「癖」にもとづいて動いてしまうものです。疲れている試合は、選手のアクションが、遅く、少ないので、見どころが少ない、退屈な試合だと感じるかもしれませんが、選手がどんなプレーを選択するのか、疲れている時にさぼるのかといった、本当の選手の実力をはかるには、良い機会なのです。

選手だけではありません。チームの戦略、戦術を把握するにも、良い機会です。選手のアクションが遅く、少ない試合は、選手のアクションに目がいきがちですが、選手のアクションが遅いため、チームとして実現させたいプレーが分かりやすかったりします。疲れている試合だからこそ、分かることがあるのです。

相手陣内でスローダウン出来ず、押し込みきれず

両チームとも前節から中2日ということで、選手のアクションが遅く、少ない試合となりました。

川崎フロンターレはセットプレーから先制しましたが、ボールは保持できるものの、なかなか相手陣内にボールが運べません。ボールを保持出来たら、前方に素早くボールを運ぶというよりは、センターライン付近でボールを保持する事を選択します。

本当なら、ボールを保持するなら、相手を自陣ゴール前から遠ざけるためにも、相手ゴール前か相手ゴールライン付近でボールを保持したかったのですが、そこまで運ぶパワーがないように感じました。

阿部が試合後のコメントで、「あえて時間を作る時間が欲しかった。」と語っていましたが、僕も同感です。

ゴール前までいけるときには、じっくり時間をかけて、確実に決められるシュートチャンスを作り出そうとしてもよかったのですが、ゴール前までボールを運べたら、一気にシュートチャンスを作り出そうと、攻撃のスピードを早めたまま、シュートチャンスを作り出すプレーにトライして、疲れからかミスをしてしまい、みすみすシュートチャンスを潰しているように見えました。相手を押し込みきれなかった結果、少しずつヴィッセル神戸のチャンスが増えていき、後半からはヴィッセル神戸がボールを保持する時間が長くなっていきました。

鬼木監督としては、ボールを保持してはいるものの、2点目を獲るようなシュートチャンスが作れていないという事を、気にしていたのだと思います。この試合は、右MFに小林、中央のMFに家長、FWに大久保を配置していたのですが、後半から小林をFWに移し、家長を右MFに配置しました。小林を中央に配置することで、小林のシュートチャンスを増やすという狙いもみえましたが、他にも狙いがあったと思います。

家長を中央に起用した理由

この試合、家長を中央で起用したのは、家長が攻撃時に「右から左に移動する」アクションが及ぼす影響を、最小限にしたかったからではないかと思います。家長は必要以上にボールを欲しがる癖があり、普段は右MFを務めているのですが、ボール欲しさに左に動いてしまう癖があります。

この家長の癖は、川崎フロンターレの攻撃に、少なからず影響を及ぼし、左サイドに攻撃が偏る要因になっていました。そして、最近の試合を観ていると、家長が右に移動しないように、攻撃が左から偏らないように、いろいろ調整をしていることが分かります。

たぶん、この試合で家長を中央で起用したのは、コンディションが悪い家長だと「右から左まで移動したら、守備の時に戻れない」という考えがあったからだと思います。

家長の対面には、ヴィッセル神戸のティーラトンがいました。ティーラトンの正確な左足のキックは、ヴィッセル神戸の強みです。もし、川崎フロンターレがボールを奪われ、家長が左サイドに移動していたら、ティーラトンの前には対応する選手がおらず、楽にゴール前までボールを運ぶことが出来ますし、正確な左足のキックを蹴ることが出来ます。ティーラトンの左足の影響を最小限にするためにも、

普段は家長は左まで動いた後は、右まで懸命に戻ります。しかし、コンディションが整っていないこの試合では、いつもの癖で左から右に移動するだろうし、左から右に戻るのが遅くなるだろうと考えたのだと思います。疲れている試合だからこそ、普段以上に左に移動し、普段以上に戻れない。だから、中央で起用する。そんな鬼木監督の意図が読み取れました。

中央にいれば、守備の負担も少なく、ティーラトンに攻撃されることも少なくなるだろう。そう考えていたのだと思います。アクションが少なく、遅くなる試合ほど、正確なキックを蹴る選手の重要度が高まります。ポドルスキ、三田、ティラートンと左足で正確なキックを蹴れる選手がヴィッセル神戸には多いので、川崎フロンターレにとっての右サイドからの攻撃を減らしたい。そう考えていたのだと思います。

実際、後半からヴィッセル神戸がティラートン、ポドルスキ、三田という3人の連携で、少しずつボールを川崎フロンターレ陣内に運びはじめました。攻撃の事を考えて、家長を右サイドに移したのですが、家長の動きが重かったので、長谷川を入れて、阿部を右サイドに移します。

阿部にティラートンを止めてもらいたいという狙いもあったのだと思いますが、阿部も普段通り動けてなかったし、守備者の間に上手く移動し続けるポドルスキを捕まえきれなかったことも要因だったのですが、なかなかヴィッセル神戸の左サイドの攻撃を止められず、同点ゴールを奪われてしまいました。

10人になってアクションが止まったヴィッセル神戸

1-1となったところで、川崎フロンターレとしては引き分けでもよかったのですが、チョン・ウヨンが2枚目のイエローカードをもらい退場したため、川崎フロンターレが数的優位になります。

ヴィッセル神戸は、4-4-1というフォーメーションに替わったのですが、右DFは本来FWの大槻、左右のMFはポドルスキと渡邉になったこともあり、守備のアクションが遅くなり、ヴィッセル神戸はズルズルと自陣に押し込まれていきます。交代枠が残っていれば、選手交代で対処するという方法もありましたが、ヴィッセル神戸は選手交代枠を使い切っていたので、選手交代で対処することが出来ません。

ここまで奮闘していた三田も、最後の10分はアクションが止まってしまい、大島への対応が遅くなってしまいました。決勝点は大島に対する三田が距離を詰めることが出来なかった事が要因なのですが、三田を責める事は出来ません。

また、小川のプレーに対する車屋のスライディングがPKにならなかったのも、ヴィッセル神戸にとっては不運でした。(チョン・ウヨンのプレーは、ボールから距離があったにもかかわらずコンタクトしているので、チョン・ウヨンが不用意だったと思います。)正直、勝敗は紙一重だったと思います。

なお、ここからは有料になります。有料部分では、田坂祐介のことについて書いています。

「問題解決能力の高い」選手といえば田坂だった

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西原雄一

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